アフターコロナの「未知の時代」を乗り切る仕事改革 第2回 オンライン商談のカベ
アフターコロナにおける、お客様との関係性は、どう変わるのでしょうか。対面での商談が実現できない中、オンラインでの商談が、急激に増えています。企業は、オンライン化に投資をし、環境を整えつつありますが、現場では、心理的な困惑や新しいやり方にとまどい、オンラインに向けた仕事改革がうまく進んでいないケースもあるようです。
オンライン商談を推進し、顧客との関係性を深化するための、マインドセットについて考えます。
「当たり前」になったオンライン商談
新型コロナ禍がもたらした大きな変化に、商談のオンライン化があります。緊急事態宣言下において顧客から訪問を断られる状況が相次ぎ、ZoomやWebexといったオンラインツールを活用したいわゆる「オンライン商談」が一気に広まりました。
当初は、訪問営業の「代用」として普及したオンライン営業ですが、あっという間に新しい営業の形として定着しつつあります。その理由としては、オンライン営業の効率の良さが挙げられます。
まず、オンライン営業ではお客様先に訪問する必要がありませんので、移動時間が削減できます。これまでは1日3件程度のアポイントが限界だった営業も、6件~7件訪問することも可能です。また、出張をすることなく、全国のお客様と次々に商談を行えるのも大きな魅力です。海外のお客様との新規商談も活発化しています。お客様の心理としても「直接来られるのは、何かと面倒だが、オンラインだったら会ってもいいか」と感じるようで、面談のハードルが下がったという声も聞きます。
このようなオンライン商談の効率の良さを最大限に活かせば、コロナ禍で厳しくなっている営業活動の大きな武器になるはずです。
「うまくいかない…」オンライン商談を活かせていない現実
このように、営業効率は各段に向上しました。一方で、オンライン商談の中身はどうなのでしょうか?
なかには、非常にレベルの高いオンライン商談を行っている人もいますが、新型コロナ禍で「突然」オンライン商談を行うことになったこともあり、多くの営業担当者はまだ、オンライン商談のスキルが伴っていないケースが見受けられます。
例えば、オンライン商談では、お客様の空気感がつかみにくいため、一方的に話し続けてしまい、お客様を飽きさせてしまう。また、十分にオンラインツールの操作方法をマスターしておらず、お客様に不安感を与えてしまう。そして、せっかくの機能をうまく活用できずに、単なるテレビ電話のような使い方で終わっている。このように、さまざまなカベが存在します。このような状況ですと、せっかく効率よい営業活動ができたとしても、成果に結びつけるのは難しくなります。
オンライン商談を上達させる「マインド」とは
では、なぜオンライン商談を成果に結びつけられないのでしょうか。それは、「対面営業が本来の姿。オンライン営業は臨時手段」というマインドにあります。
新型コロナ禍以前の営業を思い出してください。現在と同様のオンラインツールは世の中に存在していましたが、どれだけの営業がオンライン商談を行っていたでしょうか。多くの営業は「訪問してこそ営業」「オンライン営業はあくまで臨時手段」と考えていたはずです。そして、今も心のどこかで「オンライン営業は臨時手段」という考えを持っている営業が多いのが現実です。
臨時手段という考えがあると、オンライン商談のためのスライドを作成したり、オンラインツールの機能を研究したり、オンラインならではのコミュニケーションの方法を模索することに全力を尽くすことはありません。
オンライン商談のレベルを飛躍的に高めている営業担当者は「訪問営業と、オンライン営業は全くの別モノ」というマインドを持っています。全く違う業務という感覚で、訪問営業とは違う準備、違うコミュニケーションを行おうと努力しています。
例えば、オンライン営業では最初に名刺交換を行うことができません。そして、自分の顔が小さい画面でしか映し出されません。そのため、商談の冒頭で自分の写真を大きく入れた自己紹介ツールを活用してお客様の「記憶に残す」努力をしています。また、お客様の空気感がつかみづらいという状況を乗り越えるべく、訪問営業よりもゆっくりしたペースで進め、適宜確認の時間を設けています。
これからの時代、営業は更にオンライン化します。そして、ますますオンライン商談が増えていきます。今、まさに営業のマインドチェンジと、オンライン商談のスキルアップと、仕事改革が求められています。