アフターコロナの「未知の時代」を乗り切る仕事改革 第1回 オンライン化がもたらした大激変
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、急激な暮らし方・働き方の変革を余儀なくされました。この状況は、いつまで続くのか? 収束したら、元の暮らし方や働き方に戻るのか? オンライン化への対応は、どこまで進むのか? を考えていきたいと思います。
新型コロナが一気に進めた仕事のオンライン化
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に伴う「外出自粛」「3密を避ける」といった対策は、私たちビジネスパーソンの仕事に大きな変化をもたらしています。一番の大きな変化は「会社に行かない」ということではないでしょうか。
接触を8割減らすという政府の指針を受けて、多くの企業がテレワークを導入しています。ロイターの4月23日報道によると、Zoom(Web会議ツール)のユーザー数が全世界で3億人に達したようです。昨年末のユーザーが1000万人程度だったということを考えますと、この数カ月で30倍に増えたことになり、いかにオンラインを介した仕事が増えているかが分かります。
日本では、昨年の4月から「働き方改革関連法」が施行され、「テレワークの推進」を掲げている企業も目立ちました。しかし、本当にテレワークが進んでいた企業はほんの一部です。まだまだ「会社に行かないのは良くない」「家にいるのは気が引ける」というマインドが多くのビジネスパーソンのマインドを支配していました。
しかし、新型コロナウイルスという外部からのインパクトによって、否応なくテレワークを実施することになったのです。その結果、多くのビジネスパーソンはこう思っているはずです、「会社に行かなくても、仕事はできるじゃないか」と。そして、ほとんどの同僚がテレワークをしている状況を経験して、テレワークに対する抵抗感も減っています。
オンライン化がもたらした不具合とは
一方で、十分な準備期間がないまま、一気にテレワークが進んだために、下記のような不具合現象も起きています。
<不具合の例>
・対面でやり取りができないので、チーム内のコミュニケーションが減っている
・時間管理がうまくいかず、働きすぎてしまう(むしろ、残業が増える)
・同僚とのちょっとした会話ができないので、最新情報が入ってこない
・ミーティング時のファシリテーションがうまくいかず、沈黙している人が増えた
・リアルタイムで部下の状況が把握できず、指示が出しづらい
・「手取り足取り」の指導ができないので、うまくOJTを行うことができない
・Webでお客様と商談を行っているが、ヒアリングがしづらくニーズがつかめない
・新入社員がいるが、ほとんど顔を合わせられないので不安な思いをさせている
・デジタルに弱い社員が、オンラインツールをうまく使いこなせていない
なぜ、このような不具合現象が起きるのでしょうか?
それは、これまでの業務の「代用」としてオンラインツールを使い、これまでと同じ感覚で仕事をしたり、コミュニケーションを取ったりしているからです。その奥には、「新型コロナが収束すれば、元の状態に戻る。それまでのガマンだ」という考えが見え隠れします。
しかし、本当に「元の状態」に戻るのでしょうか?
「未知の時代」に向けて仕事改革を
今、私たちジェックでも、Web会議ツールを使って、ミーティング、対話、商談、社内ランチ会等に加え、お客様へのコンサルティング、研修トレーニングやセミナーなどを頻繁に行うようになりました。特に、これまで「集合研修」として実施していたものを、「Web研修」で行っているケースが増えています。多くの企業様がWeb研修実施前は、「本当にできるのか?」「効果が下がるのでは?」と心配されます。しかし、実際に実施した感想は「これまでの研修と何ら効果が変わらない」「むしろ、Webだからこその良い面もある」というお声をいただいています。
皆様の会社でも研修に限らず、「会議」「打ち合わせ」「1on1ミーティング」等をオンラインで行っているケースが増えていると思いますが、「効率的」「資料の共有もできるから、むしろこちらの方が便利」と感じている方も多いはずです。
もちろん、社内だけではなく「対お客様」「対取引先」に対しても、オンライン化での対応が継続します。結果、ビジネスモデルを大きく変える必要も出てくるでしょう。
このように、オンラインでも業務ができると実感している以上、新型コロナが収束してもオンライン化は止まりません。つまり、もうかつての状態には戻りません。我々がこれまで経験していなかった「未知の時代」が待っています。
当連載では、今後、「対社内」「対社外」の両面で、未知の時代を乗り切るために、どのように仕事を改革する必要があるかをご紹介していきます。