理念をベースに顧客価値を共創する経営-CPM経営の実現 第4回
これまで、CPM経営(コンサルティング・パートナーシップ・マーケティング経営)について、ご紹介してきました。
今回は、引き続き、成果事例をご紹介します。
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成果創出事例2:ソフト受託会社(B社)
親会社(システム元請け会社)から、ほとんどの仕事が発注されていたB社ですが、次第に案件が減り、親会社からの自立を模索せざるを得ない状況にありました。
B社トップの「二次請け・三次請けから、元請けへ変革したい」との強い意志があり、需要創造型経営への変革の取り組みに至りました。
成果創出事例
安定した受注があった、ある業界の受注の先細りが予測されました。元請け会社に聞いても、新たな案件は無いとのこと、その元請け会社も、その先のお客様業界の販売会社から、案件が無いと言われていたとのことでした。
そこで、その業界のユーザーに直接アプローチをし、ニーズをリサーチしたところ、これまでの元請け会社からは聞けなかったことがわかり、さらにそこから潜在ニーズは何かの推察を立て、元請け会社に持ちかけ、その潜在ニーズを満たす開発を共同でし、提供をしました。
ユーザーの評判もよく、結果的に、その業界の販売会社、元請け会社、自社共に、共存共栄の成果が出ました。
その後、その技術を応用し、他市場への展開を考えているとのことでした。
変革のプロセス
A社様の変革のプロセスをご紹介します。
1.トップ自らがソリューション(需要創造)を打ちだす
トップ自身が、ソリューション方向に変わると肚に決め、強いメッセージを全社員に送りました。
2.選抜チームを結成し実践トレーニング
影響力の高いマネジャーとメンバー(営業・SE)で選抜チームを結成し、ソリューションスキル強化・成果を出すためのアクションラーニングを行いました。
3.同時に「ソリューションとは何か」を全社に浸透
選抜チームの取り組みと並行して、創出した成果を取り上げ、浸透させました。大きな結果だけではなく、例えば「お客様のお客様に会うことができた」「自社商品目線ではなくお客様の問題解決策を盛り込んだ提案書ができた」など、小さな成果やプロセスの成果を、事細かにとりあげ発信し続けました。「ソリューションはこういうものだ」「我々にでもできるものだ」という認識をつくりました。
4.ソリューション指導ができるマネジャーづくり
ソリューションに変革するには、マネジャーのマネジメントが重要です。マネジャー全員がソリューション営業とは何かを熟知し、プロセスの指導ができるように、トレーニングを行いました。
5.組織改革および全員参画のしくみづくり
エリアごとの縦割りの組織から、お客様のソリューションのテーマ別にエリアを横断した組織編成を行いました。営業パーソン・SEの現場メンバーが主体となった改革プロジェクトを立ち上げ、下からの変革の盛り上がりをしかけました。
6.変革の決起大会後本格展開
本格的な変革の決起大会のあと、全マネジャーには、戦略的な市場創造ができるためのマネジメント力強化、後発メンバー全員にソリューションスキル強化を行いました。
成功の要因分析
この会社様での変革ポイントをまとめてみました。
- 需要創造の「顧客接点変革」を営業任せにせず、SE部隊との二人三脚で行った
- 小さな成果・プロセスの成果を事細かに拾い共有し、「これがソリューションだ」という認識の浸透を念入りに行った
- 取り組みの中で使ったソリューションツールを、マネジメントのプロセス指導に組み込み、OJTを徹底させた
最初は変革に懐疑的だったマネジャーの中から、変革の方向性に確信を持ち始める人が出てきて、現場での変革の推進に大いに貢献された、とのことです。
また、ご紹介した成功事例など、メンバーの創意工夫による「需要創造」事例が生まれ、「成功事例発表会」などを活用し、更に促進されるようになったとのことでした。
以上で、CPM経営についてご紹介は終わります。
この経営をするためには、どんな人や組織が必要になるのでしょうか?
「社員全員が、お客様の未来・会社の未来のことを真剣に考え、そのためにどうすれば良いかを、ワイワイガヤガヤと意見をぶつけあい、創発しあい、新しいアイデアが次々と生まれて、チャレンジし、イノベーションを起こし続ける会社」というところでしょうか。
このように、「創造的な人と組織」を創り、CPM経営を実践することによって、理念を体現し、需要を創造することができるようになり、お客様から選ばれ続けるようになるのです。