理念をベースに顧客価値を共創する経営-CPM経営の実現 第3回
これまで、CPM経営(コンサルティング・パートナーシップ・マーケティング経営)について、ご紹介してきました。
今回は、成果事例をご紹介します。
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成果創出事例1:電子部品製造会社(A社)
お客様(完成品メーカー)の製造工程に必要な電子部品を供給されておられる会社です。
当初、業績は良く、お客様である完成品メーカー数社からの受注も安定していましたが、これから先のことを考えると、ソリューション型の営業・経営に変えていく必要性を感じ、変革に着手されました。
成果創出事例
複数社あるお客様のうち、一社からの受注が無くなり、お客様の購買担当者にお聞きすると、特に今、困ったことは無い、との返答がありました。
そこで、お客様にお願いし、製造ラインの視察に入り、実際に現場を徹底的にみることで、お客様担当部門でさえ気づいていなかった問題点が見つかったそうです。早速、不良品率削減の提案をし、ラインの不良品率改善につながったとのことでした。
このケースでは、「お客様のお客様=製造ライン現場」という捉え方をしています。
その後、その不良品率改善につながった電子部品をさらに改良し、このお客様の不良品率改善にさらに貢献したと同時に、他社にも展開をしました。
変革のプロセス
A社様の変革のプロセスをご紹介します。
1.ソリューションを打ちだし、組織の基礎をつくった
現場で売れている人をヒアリングしてみると、「ソリューション営業」をやっていたことがわかり、変革の方向性を確信しました。その後、ソリューションを推進する部署をつくり、評価制度も整えました。また、プレスリリースを行い、市場に対してもソリューションに変わるということを、コミットしました。
2.全営業にソリューション営業の土台をつくる
全営業会議の場で、「ソリューション営業部隊に変わる」という宣言をしました。その後、ソリューション営業に必要な、商談のすすめ方や、提案の作り方など、基礎的なスキルトレーニングを全員に行いました。この段階では、成果を求めることはしませんでした。
3.マネジャーと営業希望者に成果創出を狙った実践トレーニング
基礎的なスキルトレーニングのあと、成果を出すためのアクションラーニング(スキルを学んで、実践で使い、PDCAを回す)を行いました。アプローチ戦略にのっとり、実際のお客様に訪問し、ニーズを探り、ソリューション企画を考え、提案するまでを徹底して行いました。マネジャーは必須ですが、営業パーソンは、意欲のある希望者から優先的にトレーニングに参加していただきました。
4.成果を確認し変革方向に本格的に舵を切る
3.で取り組んだ期間の成果を検証し、ソリューション方向で間違いないことがわかりました。上記の成果も、この時に出たものです。成果が上がらなかったマネジャーの人事を一新するなど、変革方向に、より加速する人員配置を行いました。
5.幹部の一枚岩づくりで全社ソリューション体制づくり
全社ソリューション体制をつくることを確認し、全事業部トップを巻き込んだ変革の体制をつくりました。
6.開発部隊へ拡げる
これまで、営業部隊中心の取り組みでしたが、開発部隊へも変革を拡げました。
成功の要因分析
この会社様での変革ポイントをまとめてみました。
- あるべき姿から変革を行う、トップから変革を行う、という王道ではなく、現場の成功事例を分析し、「今までもトップセールスがやってきたこと」という認識を作り、変革に対する意識の壁(ハードル)を下げた
- 顧客接点に必要な基礎スキルを明確にし、全員に基礎スキルの徹底を図り、全体の底上げが終わるまで、本格的な変革を待った
- 土壌ができたうえで、一気に幹部が先頭に立ち変革を推進させた
通常より、時間がかかるやり方ではありますが、あまり業界再編の波にさらされておらず、おっとりした組織文化のA社様にとっては、じわじわと変革を進めるやり方が合っていたようです。
取り組み当初のトップセールスの方以外でも、今回ご紹介した成功事例のような取り組みが生まれ、着実に変革が進んでいったとのことでした。
次回も、事例をご紹介します。
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