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あなたは「中核社員」になれているか?

加藤さんの言動

とある商社の営業である市川さんは入社十年目の中堅社員です。
今日は全国の営業が集まる「営業方針発表会」に出席しており、営業担当役員である常務の年度方針を熱心に聞いているところです。

常務の方針は魅力的であり、市川さんもわくわくしています。
しかし、「新規市場への進出」という部分だけがどうしても理解できません。スライドでいろいろなデータが示されましたが、どれも難しく、意味が分からないのです。周りの営業を見ると、首をかしげたり、スライドを見つめて「うーん」とうなったりしている人もいます。

そんな時、市川さんの一年先輩である加藤さんがすっくと立ち上がり、「常務、新規市場への進出の件ですが、もう少し詳しくご説明いただけませんでしょうか」と発言したのです。
常務は少しびっくりした顔をしましたが、「よし、ではもう少し丁寧に話そうか」と説明をし直しました。その結果、市川さんは内容を十分に理解することができました。

全体のために思い切って行動できるか

帰りの電車の中で、市川さんは上司の吉岡課長と今日の発表会について話をしています。

市川さん:加藤さんには驚きました。常務にもっと詳しく話せなんてよく言えますよね。
吉岡課長:確かに勇気がある行動でしたね。ところで、君は常務の話を理解できていたの?
市川さん:いや、実は私も加藤さんと同じで、意味が分からなかったんです
吉岡課長:加藤さんは最初から常務の話は理解できていたと思うよ。彼はデータ分析の名手だからね。でも、あえて質問したのだと思う。
市川さん:なんで、そんな意味のないことをしたんですかね?
 
なぜ、加藤さんはあえて質問したのでしょうか。それは、周りの営業を見て「理解できていない」と判断したからです。常務にもう少し丁寧に話をしてもらい、会場にいる営業全員に内容を理解してほしかったのです。

つまり、加藤さんは自分のためではなく、全体のために勇気ある行動を取ったのです。このような人こそ、単に年数を重ねた中堅社員ではなく「中核社員」です。


全体の実績を高めることを考える

中核社員は、実績を高めることに真剣です。ただし、自分の実績さえ上がればよいとは思っていません。チーム、そして全社の実績を高めようと常に頭をフル回転させています。そのため、全体の実績を高めるために必要だと感じたことは思い切って行動に移します。

例えば、商品に改善が必要だと思えば、進んで改善提案を出す。自分勝手な行動を取っている人がいれば、「それはおかしい」とキッパリ言い切る。他部署から協力を求められた際は、嫌な顔をせず話を聞くなど。

思い切った発言や行動をすることも多いため、時には「ずうずうしい人」、「空気が読めない人」と言われることもあります。そして、本人もそのように言われていることを認識しています。しかし、それでも信念を貫く。このような人が中核社員なのです。


あなたは中核社員になれているか

中核社員かどうかは、ミーティングや会議の場面で見極めることができます。あなたは次のどのタイプでしょうか?

①ほとんど発言しない、または発言が非常に少ない
「下手に発言をして責任を負わされたくない」、「周りと関係性を悪くしたくない」、「興味がない」などの理由で、ほとんど発言しない人がいます。
このような人は、会議に参加する資格がありません。なぜならその場で何も価値を生み出さないからです。もちろん、中核社員からはほど遠い存在です。

②「要望型」の発言が多い
「もっと、良い商品を出してもらわないと売りにくい」、「システムを改善してくれないと、時間がかかる」など、自分の要望を中心に発言をする人がいます。このような発言をきっかけに改善が進むこともありますが、「誰かがやってくれ」という受け身の姿勢は、全体に有益な価値は生み出しにくいものです。
このような人も、中核社員とはいえません。

③「提案型」の発言が多い
「明日からの朝礼で、うまくいった事例を共有しませんか? まず、私が事例を出しますよ」、「実績を入力するフォームをもっとシンプルにしましょう。もしよろしければ、私がたたき台をつくります」など、全体を考えた提案をする人がいます。
これらの発言の大きな特徴は、「誰かがやってくれ」ではなく、「自分もやる」という当事者意識が感じられるところです。全体のために「私も動きます」というメッセージを伝えることで、周りの人にも「じゃあ、私もやるか」と火をつけようとしています。
このように、当事者意識を持ち、全体に利益を与えるための提案をする人こそ、中核社員です。


中核社員は一人である必要はない

ただ、このように積極的な言動を行う中核社員を「異端児」と見なし、はじき飛ばそうとする組織もあります。中核社員を見て、「穏便に過ごしたいのに、波風を立ててほしくない」と感じるようです。
中核社員が孤立するような組織は、弱体化してしまいます。
では、どうすればいいか。中核社員は一人とは限りません。そこにいる全てのメンバーが中核社員になることも可能です。中核社員が増えれば、その組織は強い組織に生まれ変わります。
あなたは、中核社員ですか?
それとも、中核社員を遠目から眺めている、単なる中堅社員ですか?



<中堅社員チェック>

□ 会議では必ず発言する
□ 「要望型」よりも「提案型」の発言が多い
□ 相手が先輩や上司であっても、はっきりと意見を述べることができる
□ 自分の利益より、全体の利益を優先することが多い
□ 会社が改善してくれるのを待つのではなく、自分から動く


*この記事は株式会社ジェックの「行動人」448号より転載・加筆いたしました。

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