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知っておきたい 「メタ認知」とは

何か大切なことに取り組んでいる最中に、「今、自分は焦っているな」とか、「もっとリラックスした方がいいな」と考えている自分に気づくことがありませんか。このとき、私たちは自分の心の動きを自覚しています。これはメタ認知です。メタ認知は誰にでもできます。そして、そのやり方を理解し実践することでメタ認知力を高められます。

メタ認知が高まると、ビジネスパーソンとしては、失敗した時や想定外の事態に直面した時に、状況や自分を客観視することで、感情に振り回されることなく解決への一歩を踏み出しやすくなります。また、ビジネスシーン以外でもメタ認知を働かせることで、対人関係などのストレスを感じにくくなるでしょう。
今回は、知っておきたい(知らないともったいない)「メタ認知」について考えてまいります!



目次[非表示]

  1. 1.メタ認知とは
  2. 2.メタ認知の重要性
    1. 2.1.メタ認知が低い人の傾向
    2. 2.2.メタ認知が高い人の傾向
    3. 2.3.メタ認知の重要性
  3. 3.メタ認知を支える「3つの知識」と「2つの活動」
    1. 3.1.3つの知識
    2. 3.2.2つの活動
  4. 4.メタ認知を高めるために
    1. 4.1. 心身を整える
    2. 4.2.メタ認知的知識を活用し、メタ認知的活動を正しく行う
    3. 4.3.トレーニング手法に関する情報収集を行い、ブラッシュアップする
  5. 5.まとめ
  6. 6.<関連サービス>


メタ認知とは

認知とは「見る・聴く・読む・感じる・覚える・理解する・解釈する・思い出す・考える・話す・書く」などの『頭を働かせること』を指します。

メタ認知とは「Meta」+「認知(cognition)」であり、「Meta」というのは「高次の」や「超」といった意味です。直訳すれば、「超高いレベルで頭を働かせること」であり、意訳すれば「自分がどのような状況で何を感じているのか・何を考えているのか・どのような行動をとっているかなどを観察したり修正したりするように、頭を働かせること」と言えます。

この言葉は、1970年代に発達心理学者のジョン・フレイヴェルが使い始めました。幼い子供はまだメタ認知を働かせることができず、成長とともにメタ認知的な能力が発達していくと説いています。


メタ認知の重要性

メタ認知が低い人の傾向

・「過度に否定的・悲観的に考えてしまう」「過度に肯定的・楽観的に考えてしまう」ため、感情の起伏が激しい。
・「とりあえず」が口癖で、無計画で感覚的なな行動に走りやすい。
・決めつけや思い込みが強く、人の意見を取り入れようとしない。



メタ認知が高い人の傾向

・事実を大切にし、意見や評判に一喜一憂したり振り回されたりしない。
・計画的、理性的に自分を動かすことができる。
・自分の意見に固執せず、色々な考えをニュートラルに取り入れることができる。


メタ認知の重要性

メタ認知が低いと、自分の思考や感情と上手に付き合うことができず、ストレスの蓄積で心身が疲れやすくなりがちです。
また、人からどう見られているかに振り回されて自分の意見を見失ってしまったり、反対に自己防衛のために自分の意見に固執しすぎて人の意見を否定したりすることも少なくありません。
その時々の感情に左右されると、何が重要なのかを正しく認識できず、間違った際にも適切な反省ができないと、結果として問題を解決できなくなってしまいます。

成長が思わしくない、良好な人間関係構築がうまくいかない、自分の身の回りに起こる問題を解決できない、努力しているのにいろいろなことがうまくいかないなどが重なると、さらに感情的になることが多くなる、といった悪循環を繰り返すことになりかねません。

このような状況にならないためにも、メタ認知を高めることが必要です。


メタ認知を支える「3つの知識」と「2つの活動」

どのような能力も、基本を押さえて正しい努力を継続すれば高めていくことが可能です。
例えば、運動能力を高めるためには、人の体に関する基本的な知識を押さえておくこと、そしてどのような練習をすれば効果的なのか、反対にどのような練習方法は効果がないのか、などを知り、正しく練習することが必要です。そうしないと、たくさん練習をしてもなかなかうまくならなかったり、がむしゃらな練習のせいでけがにつながることもあるでしょう。

それはメタ認知も同様です。メタ認知を働かせるには、正しい知識と行動が必要です。
それが「3つの知識」と「2つの活動」です。

3つの知識

3つの知識とは「人間の認知特性に対する知識」「課題に対する知識」「方法に対する知識」です。この3つの知識を合わせて「メタ認知的知識」と呼びます。

①「人間の認知特性に対する知識」

例えば、
「人間は思い込みで物事を決めつけてしまいがち」
「決めつけを合理化するためのロジックを作り上げてしまいがち」
「理性で感情をコントロールすることはできない」
「言葉に対する理解や意味づけが人によって異なるので、同じ言葉を使ってもコミュニケーションギャップは発生してしまう」
などの、人の認知に対する知識のことです。

②「課題に対する知識」

例えば、
「問題というのはあるべき姿と現状のギャップのこと」
「問題には現象と原因の両面がある」
「人間関係の問題は、原因と結果が卵と鶏の関係になりやすい」
などの、問題に対する知識や、

「自分は作業に慣れてきたときにミスを起こしやすいという課題がある」
「自分は1つのことに集中しようとすると他のことが気になってしまって注意力散漫になりやすい」
などの、課題に対する知識のことです。

③「方法に対する知識」

例えは、
「慣れによるミスを減らすためには定期的にマニュアルを自分の言葉で文章化すればよい」
「一つひとつやるべきことを付箋に書いて、順番に並べ替えてからやるべき付箋を目の前に置いておくと集中しやすい」
などの、課題を解決する方法に対する知識のことです。


2つの活動

2つの活動は「メタ認知的モニタリング」「メタ認知的コントロール」です。この2つの活動のことをまとめて「メタ認知的活動」と呼びます。

①「メタ認知的モニタリング」

「メタ認知的モニタリング」とは、「自分が何に対して何を感じているか、何を考えているか」を客観的に観察することです。

例えば、「あぁ、今自分は感情的になっているなぁ」とか「自分はこの点を決めつけてしまっているのだなぁ」というように、認知の状態を観察できている状態が、メタ認知的モニタリングが機能している状態と言えます。

②「メタ認知的コントロール」

「メタ認知的コントロール」とは、認知状態を自分で制御する働きのことです。

例えば、「感情的になったままだと攻撃的になるからいったんリセットしよう」とか「決めつけている点に関して他の部署の視点で考えてみよう」というように、観察した認知の状態に対して、自分の意志でニュートラルに制御できている状態が、メタ認知的コントロールができている状態と言えます。

このメタ認知的知識を学び、メタ認知的活動を正しく継続することで、自分を客観的にとらえられる=メタ認知を働かせることができます。

それによって、私たちは自分の日ごろの努力をより効果的に自分の成長につなげられるようになります。


メタ認知を高めるために

それでは、メタ認知を高めるための具体的な方法についてご紹介しましょう。


 心身を整える

能力を高めるためにはどうしても知識の修得や練習に目が行きますが、その前に大切なことは「心身の状態を整える」ということです。

①適切な睡眠をとる

忙しい現代では睡眠時間を削ってしまうことが少なくありません。しかし、学習効果を高めるためには、脳の状態が整っている必要があります。睡眠不足は脳の働きを低下させる最大の要因です。疲れ切っている状態でどれほどトレーニングをしても効果的に能力が向上しないことを、私たちは体感的に知っています。自分自身のために、適切な睡眠を確保することが大切です。

②過度な刺激物の摂取は避ける

覚醒レベルを上げるためにカフェインを摂取することがありますが、カフェインの過剰摂取は神経過敏や苛立ち、不安感の上昇、熱器や寝覚めの悪さなどを引き起こすことが分かっており、メタ認知の働きを阻害してしまいます。1回200ml以内もしくは1日500ml以内をメドに、過度な摂取を避けることが好ましいです。

③音楽で覚醒レベルをコントロールする

脳の覚醒レベルを上げることができるのはカフェインだけではありません。日光を浴びる、顔を洗うなどのほかに音楽を用いるのも効果的です。一般に行進曲は覚醒レベルを上げることが分かっています。


メタ認知的知識を活用し、メタ認知的活動を正しく行う

メタ認知を働かせるというのは、「超」客観的に自分を観察し修正するということです。
いきなりは難しいので、傍目八目(おかめはちもく)という性質を活用することから始めることが有効です。
傍目八目とは「他人が打っている囲碁をそば(傍)で見ていると、八目先までの手を読むことができる」という意味で、当事者よりも傍観者のほうが、物事をより正確に把握し、物事の真相をはっきり見分けることができるという意味で使われる言葉です。

人は他人のことを見ている時は、自分のことを見ている時よりも冷静に客観的に観察・思考・判断できるものです。それでは、具体的にどうするのかをご紹介します。


①ケーススタディを活用する

まずは、架空の想定事例に対して、「何がうまくいかない原因なのか」「どう判断すべきだったのか」「どう行動すべきだったのか」を考えます。
「○○という状況の時には、~~と考え、□□というような行動をとる方がうまくいく」という判断基準を学びます。

次に、その判断基準を自分にあてはめ、「自分はそのような状況で~~と考えられているのか、もしできていないとしたらどのようなことを考えがちなのか」「□□という行動をとれているのか、もしできていないとしたらどのような行動をとりがちなのか、なぜその行動を選択しているのか」を考えることで、「超」客観的に自分を観察する確率を高められます。


②行動練習をしている自分の姿を動画撮影しチェックする

コミュニケーションスキル研修では、自分と相手がペアになり問題解決のための対話を行うというようなロールプレイングを行うことがあります。
ロールプレイングの最中は自分を客観視することが難しいかもしれません。そこで有効なのが動画を撮影しロールプレイング終了後に自己チェック(モニタリング)することです。
相手がどんな発言をした直後に自分はどのような言動をとっているのかを観察し、その時自分は何を考えなぜその行動を選択したのだろう、ほかの選択肢はなかっただろうか・・・と振り返りを行います。このときに、自分以外の人の分析もフィードバックしてもらうとより効果的です。

このようなトレーニングをすることで、実際の対話や会議の最中にも「あぁ今自分はちょっと感情が先行しているな」「この言葉は自分にとっては当たり前でも3年目の後輩にはまだ実感情報として伝わっていないな、別の伝え方にしないと」「話過ぎてるな、もっとみんなが発言できるような質問を増やそう」というように、メタ認知が働く確率が高まっていきます。

それが結果として周囲との関係性がより良いものに変わっていったり、皆の参画度が高まったり、結果としてよい解決策が生まれたりすることになっていくのです。


トレーニング手法に関する情報収集を行い、ブラッシュアップする

有名なところではメタコグニティブトレーニング(MCT)という、2007年にドイツ、ハンブルク大学のS.Moritz教授が開発したトレーニング法があります。ほかにもメタ認知を高めるのに有効な技法といわれているのが、マインドフルネス・ライティングセラピー・セルフモニタリングなど多々あります。

あまり頭でっかちになっても行動化されなければ意味はありませんが、世の技術や技法は日々進化進歩するものです。自分に合ったトレーニング手法を獲得するためにも、知識情報の鮮度管理は必要でしょう。


まとめ

「メタ認知」という言葉そのものはなじみがなかったとしても、自分の成長、人間関係の良化、問題解決などにとってとても重要なものです。

(1)  他人事で正しいものさしを学ぶ
(2)  ものさしを自分にあてはめ、自分の美点欠点を整理する
(3) 「使う能力は磨かれる」原則を活かし日常的にメタ認知を働かせる癖をつける

 
ということを意識して、自分で自分を高め続けていきましょう。


ジェックは、お客様のご支援に際して「行動理論の改革」、つまり行動の元となっている本音の考え方を変えることで、より成功確率の高い行動へと変わっていくオリジナルメソッドを、すべてのプログラムに展開しています。この行動理論の改革には、自らを客観視する「メタ認知」が大きな役割を果たします。
創業以来、多くのお客様の行動変容と成長を見てまいりました。今ますます、自ら変わり続け成長し続けることができる自律的なビジネスパーソンが必要とされています。
そのために、メタ認知を高めることは欠かせません。


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