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「中核社員」のリーダーシップとは

後輩指導だけでは、リーダーシップとはいえない

入社十年目の奥田さんは、上司の森田課長と面談を行っています。
森田課長:どうですか、最近リーダーシップは発揮してくれていますか?
奥田さん:はい、四年目の鈴木さんや、二年日の高木さんはよく質問してきますので、いろいろと教えています。
森田課長:いつもありがとう。ところで、鈴木さんの強みってどんなところかな?
奥田さん:強みですか? お客様とすぐに仲良くなれるところじゃないですね。
森田課長:それはすばらしい強みですね! 鈴木さんは、その強みをうちのチームでどう生かせばいいでしょうか?
奥田さん:は? どうして私がそこまで考えなくてはいけないのですか?
森田課長:與田さんはまだまだリーダーシップを発揮していないみたいですね。
 
奥田さんは、後輩の面倒を見ているつもりでしたが、課長は満足していないようです。


「同じような」人材だけでは物足りない

入社十年目ともなれば、マネジャーも頼りにする中堅社員です。かつての中堅社員は、自分の仕事で成果を出してチームを牽引したり、後輩の面倒を見たりして、存在価値を発揮していました。もちろん、今でもそれは重要なことです。

しかし、先ほどの森田課長はそれだけではまだまだリーダーシップを発揮しているとはいえないと述べています。一体なぜでしょうか。

奥田さんは後輩の鈴木さんや高木さんが「質問してきたら、教えてあげる」と言っています。気になったことがあれば、自らアドバイスもしているかもしれません。もちろん、それはすばらしいことです。

では、そのアドバイスの中身はどのようなものでしょうか。もしかしたら、それは奥田さんがこれまで経験した「與田さんのやり方」を教えているだけかもしれません。奥田さんのやり方を覚えた鈴木さんや高田さんは、それなりに仕事が上達するかもしれません。しかし、チーム全体のことを考えたらどうでしょうか。
 
同じようなやり方をしている人が一人、また一人と増える。ミーティングを行っても同じよう意見しか出ない。森田課長はこの点を問題視しているのです。


組織的な視野を持ち中核人材になる

繰り返しお伝えしているとおり、今の世の中は変化が激しく、昨年の常識が今年通用するとは限りません。また、お客様の多種多様なニーズにも、アイデアを振り絞って対応していく必要があります。

そのような状況下では、一人で仕事をこなすのはなかなか難しく、チーム全員で協力してアイデアを出し、乗り切っていくことが求められます。

しかし、同じようなやり方、考え方の人ばかりだと、相乗効果が出ず、なかなか良いアイデアが生まれません。一人ひとりが自分の個性や強みを認識し、それを生かして仕事をしていれば、いざという時に強みと強みの相乗効果でさまざまなアイデアが生まれます。

森田課長が奥田さんに求めていたのは、後輩の指導をするのみならず、一人ひとりの強みを伸ばすことだったのです。

これは、「自分の成果を出す」「後輩に教えてあげる」といった「個人の視点」ではなかなか難しいですね。「チーム全体のレベルを引き上げる」。その結果、「会社の成長に貢献する」という「組織的な視点」が必要です。

このような観点を持てば、単なる中堅社員ではありません。会社の未来を創造する人財である「中核社員」です。


中核人材のリーダーシップ

では、「組織的な視点」を持つためには何が必要でしょうか?

まずは、上司との密な面談が必須です。特に年度初めに行う面談で、上司がチームをどのようなレベルに引き上げたいかを徹底的に理解します。わからなければ何度も質問して食い下がるくらいの気概が欲しいですね。

その上で、チームをそのような姿に導くために、自分を含めたメンバー一人ひとりの強みをどのように活用するかを考えます。

例えば、お客様とすぐに仲良くなれる鈴木さんには、新規のお客様を中心に回ってもらい、コネクションを徹底的につくる。資料づくりが得意な高木さんには、お客様にお持ちするインパクトのあるパンフレットを逐一作成してもらう。

このような「強みを活用するアイデア」を、積極的に上司に進言します。
後輩に対しては、「聞きに来たら答える」程度では足りません。こちらから積極的に、後輩の強みを活用します。「鈴木さん。今度、高木さんが新規のお客様の所に行くからアドバイスしてあげてよ」「高木さん。鈴木さんが使うパンフレットの制作を手伝ってくれないか」など、強みを生かしてチームの力を高めるような動きを促進します。

マネジャーではなくとも、リーダーシップが求められています。
リーダーシップとは、単なる後輩指導ではありません。チーム全体を高いレベルにリードできる「中核人材」のことなのです。


<中堅社員のリーダーシップ・チェック>

□ 後輩の指導を積極的に行っているか
□ 後輩の強みを、一人につき3つ以上言えるか
□ 年度初めに、上司が目指すチームの姿を徹底的に聞いているか
□ メンバーがチーム内で強みを発揮できるように導いているか
□ 自分自身の強みも、チームのレベルアップに生かしているか


*この記事は株式会社ジェックの「行動人」446号より転載・加筆いたしました。

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