業績不振こそチーム力向上のチャンス~マネジャーのとるべき行動とは~
業績不振時にやってはいけないこと
計画に対してチームの業績進捗が遅れてしまうという事態は、多くのマネジャーが経験します。「このままではまずい」「何とかしなくては」と焦ってしまうことが多いようです。
このような業績不振時にこそ、マネジャーとしての真価が問われます。
次のような行動を取るマネジャーは、メンバーから失望され、チーム力を一気に引き下げてしまいます。
メンバーのせいにする
「うちのメンバーは本当に行動量が少なくて」、「指示しないと動かないんですよ」など、さもメンバーが業績不振の原因であるかのような言動をするマネジャーがいます。
マネジャーは「限られたリソースでいかに業績を上げるか」を考えることが貴務です。メンバーのせいにしている段階で、自分のマネジャーとしての力のなさを露呈していることになります。
とりあえずプレッシャーをかける
「絶対に今月達成しろ」「必ず今月中に契約するんだ」など、業績を上げるために、やみくもにプレッシャーをかけるマネジャーもいます。
しかし、否応なく「やれ!」というプレッシャーは、メンバーの思考を停止させてしまい、動いてはいるが成果は出ないという状況に陥り、チームの空気が暗くなっていきます。
何も手を打たない
業績不振にもかかわらず、何も手を打たないというは問題です。「私が何も言わない方が、メンバーが考えるんです」などは単なる怠慢です。そのようなセリフは、業績が好調な時に言ってください。
マネジャーが何も手を打たないと、「うちのチームは大丈夫なのか?」「このまま未達に終わるのでは?」という不安が広まり、メンバーのモチベーションは一気に下がります。
業績不振をチャンスに変えるためには
では、業績不振をチーム力向上のチャンスにするためには、どのようなことをする必要があるでしょうか。一例を挙げます。
①「必勝コメント」を貫き通す
マネジャーが、「今期はダメだな」「達成は難しい」などといった「諦めコメント」を一度でも発したら、もうそのチームは終わりです。マネジャーが諦めていることを見抜かれてしまいます。
業績不振時も、「絶対達成しよう」「大丈夫、うちのチームは達成する」などといった、「必勝コメント」を続けることです。マネジャーが諦めない限り、メンバーも諦めません。
②「復活のストーリー」を描き、見える化する
現在から、目標達成までの「復活ストーリー」を描きます。たたき台をマネジャーが作り、それを基にメンバー全員で話し合うとよいでしょう。
その際には、「うまくいっている点を、よりうまくいかせる」ための策から話し合い、その後、うまくいっていない点の原因分析や解決策を練り込みます。その順番の方が「いけそうだ!」というマインドになりやすいのです。
「復活ストーリー」は、パワーボイントなどを活用して生き生きと描き、オフィスの壁などに貼り出すことをお勧めします。
③「必達タスク」を割り振る
「必達タスク」とは、必達に向けたチーム内の役割分担です。例えば、ある人は各人の進捗状況を聞いてグラフ化する、ある人は成果が出た人のことをメールでチームメンバーに配信する、などです。
チーム業績復活のための役割を担っているという自負が、一人ひとりのチームに対する愛着心を高め、気持ちを一つにする大きな機会となるのです。
④ときに大号令をかける
ここぞというときに、マネジャーが大号令をかけることも非常に有効です。①~③の行動でチームの士気が高まりつつあるときに、「よし、この1週間は力の入れ時だ。重点ユーザーすべてに提案を行う!」と勢いのある号令をかけると、メンバーも「やるぞ!」と一気に動きが起き、想像を絶する成果につながることが往々にしてあります。
達成感と自信をもたらすために
業績不振を乗り越えて「目標達成」を果たすと、そのチームには大きな達成感がもたらされます。チーム全員で勝ち取った達成感です。その結果、チーム全体に強い結束力が生まれ、根付きます。
さらに「私たちは、あの状況から復活した」という自信が芽生えます。特に、若手のメンバーにとっては仕事に対するやりがいを知るきっかけになるかもしれません。
このように、業績不振というのは、チーム力を高める非常に大きなチャンスなのです。
現在、飛ぶ鳥を落とす勢いの業績好調企業も、過去をさかのぼってみるとほぼ例外なく、業績不振のピンチを体験していることが分かります。大きなピンチを切り抜けてきた企業ほど、たくましい企業風土を作り上げています。
自分のチームが業績不振に陥った時、「まずいことになった」と思うか、「チーム力を高める機会がやってきた」と思うか。
マネジャーの考え方一つで、その後のチームが決まります。
*この記事は株式会社ジェックの「行動人」457号より転載・加筆いたしました。