自分の意見を否定され感情的になったときに
会議や商談、プレゼンテーションや面談などのシーンで、自分の意見を厳しく否定されたり、鋭い指摘を受けたりすると、想定していなかったことには誰でも動揺します。
その時に思わず、オロオロしたり、涙ぐんで俯いてしまったり、あるいはこちらも厳しく反撃したり、人によって反応はさまざまでしょう。
しかし、感情のままに行動すると、相手には「このくらいで動揺するとはこの人は大丈夫かな」「こちらの意見を聞く耳をもたないのかな」など映ることもあります。
なぜこのような行動をとってしまうのか
そこには以下のような思い込みがあるのではないでしょうか。
・答えられない自分をダメなやつだと思われたくない。
・厳しく否定されるということは、自分は相手に良く思われていない。
・厳しく否定されるということは、相手は自分をわかろうとしてくれない。
・反論されたら、すぐに反撃しないと相手になめられてしまう。
このような考えから、指摘に対して何の回答もできなかったり、落ち込んでしまったり、反撃したりといった感情的な行動につながります。
では、感情的になることを押えるために、具体的にはどうすればよいでしょうか。
「自分の感情に向いている意識を相手に向ける」
1つ目は、「自分の感情に向いている意識を相手に向ける」ことです。
●指摘に応えられないなんてもうダメだ
→ 相手はなぜその指摘をしてきたのだろうか?
●否定されるなんてやはり自分は良く思われていない
→ 相手が否定した理由や、相手の意見はどういうものなのだろうか?
●そもそも相手は自分をわかろうとしてくれていない
→ 相手はなぜ自分に対して意見を言ってきたのだろうか?
●反撃して押し通して切り抜けよう
→ 相手が反論してきた意見はどのようなものだろうか?
つまり、
・相手がなぜそう言ったのか、その背景として何を考えているのか
・指摘があるということはこちらの意見に興味を持っているということだ
・指摘してくれたことについてもっと知ろう
・相手のこだわりは何か
など、「自分」から「相手」に意識を向けることで、自分の意見(提案)へのこだわりが減り、感情をコントロールできるようになります。
そして、感情がコントロールできれば、相手の指摘を真摯に受け止めることができるようになるのではないでしょうか。
「メタ認知をする」
2つ目は、なぜ、自分がそう考えてしまったのかを理解し(受け止め)て、自分を見つめ直してみる(メタ認知する)ことです。
見つめ直すときには、「なぜ、そう思ったのか」をどんどん掘り下げていくとよいでしょう。
そして、例えば「焦ってしまうのは、何か言わなきゃいけない、取り繕わないといけないと思うからだ。それは対応できない自分をダメな奴だと思われたくないからだ」という自分の考えがあったと理解したとします。
次にはその理解が正しいのかを客観的に考えてみます。
→でも、対応できないと即ダメな奴だと思われるものだろうか
→そもそも、想定外をゼロにすることはできないのではないか
→相手の想定外の意見は単なる質問で、自分が想定しきれていなかっただけだ
→想定外の意見は、よく考えると、自分にはなかった気づきがあった
→想定外だったことを認めて、意見を請うことはダメなことではない
→次からは焦らず素直に、想定していなかったことを伝えて、相手の意見を真摯に受け止めよう。
想定外だったらすぐに回答できないのはよくあることだから回答に猶予をもらえばよい
というようにです。
自分を見つめ直す(メタ認知)は、慣れてくるとその場でできるようになりますが、後で振り返る癖をつけることをお勧めします。
つまり、「落ち込んだ」「嫌なことがあった」「腹が立った」などマイナスの感情が湧いたときに、「なぜそう思ったのか、なぜその行動をとってしまったのか」を見つめ直すことで、別の考え方に切り替えるきっかけとなります。
特に議論の練習などをしてこなかった場合に陥りがちなのが、相手の指摘や反論を自分そのものへの攻撃だと捉えてしまい、瞬間的に「この人は私を陥れようとしている」「嫌われている」と受け止めることがあります。
それが落ち込みや反撃に繋がりがちなのも事実です。
議論の中での指摘や否定は、あなたの出した意見に対しての指摘であり、あなた自身の否定ではないということを理解しておけば、それだけで前向きな議論となるはずです。