「安全体質」に変わるための第一歩
組織とは有機体であり、組織文化は体質です。
例えば、人の体質を表現する言葉として、「冷え性」「太りやすい」「血圧が高め」などがあります。
これら「体質」に対する根本的解決方法は規則的な生活習慣をおくること、つまり医師などからよく言われる「バランスの良い食事・適度な運動と適切な休息をきちんと取りつづけること」です。
しかし、私たちは日常生活においてなかなかそれができない、あるいはちょっとやってはみるものの継続が難しい。そのため「低周波によるダイエット器具購入」など特定部分あるいは特定機能だけにフォーカスした「打ちやすい手」に頼りがちです。
【食事制限不要!テレビを見ながら1日15分間この器具をおなかにセットするだけ!】で痩せるはずがないと本当はわかっているのですが、「やらないよりはまし」と自分に言い聞かせやってみても、根本の体質が変わっていないのでほぼ効果はなく、あるいは多少効果があってもすぐリバウンドしてしまうというようなことを繰り返し、年月だけが過ぎていってしまうことも少なくありません。
そのうち「太りやすい体質」は「痩せづらい体質」へとレベルアップしてしまいます。
「そうは言っても…」心理を引き出すことから
組織文化はまさにこの「体質」なのです。
故に全体と部分を俯瞰し、根本要因に手を打つ全体論的(ホーリズム)アプローチを行っていくことをおざなりにして、要素分解し特定部分に手を打つ要素還元的アプローチだけを行ってもすぐリバウンドしてしまいます。
では、全体論的アプローチにおいて重要なものは何になるのでしょうか?
それは、組織文化の正体である「集団の大多数に共通で根付き当たり前になっている考え方や行動パターン」にフォーカスし、打ち手を構築していくことです。
この「自分達では自覚できない当たり前を自覚」し、「新たに定着させるべき当たり前を文言化」し、その当たり前を定着させるための行動を継続させていくこと、これが「体質改善で言う規則正しい生活」にあたります。
それでは、当たり前を自覚するためにどのような手法が有効になるのでしょうか。
それは、全く異なる考え方をあえてぶつけ、それに対して生じる「そうは言っても…」という心理を引き出すことです。
この心理を認知的不協和と呼びます。
そしてこの「…」の部分を洗いざらいあぶり出し、文字にして可視化することで、目に見えない当たり前が、自覚できる当たり前になります。これが全体論的アプローチの第一歩です。ここからすべてが始まるのです。
これができたら、組織文化ができるメカニズムを活用し、打ち手を生み出していくことになります。
組織文化というものは意識していなくても年月を積み重ねる中で自然発生的にできあがっていきます。そのできあがっていく仕組みを理解すればおのずと手を打つべきポイントもわかってきます。