組織文化ができるメカニズム ~安全第一の組織文化
組織文化の正体は、その組織に所属する大多数の人に根付いている「当たり前になっている考え方と行動習慣」です。
ではその「当たり前」はどのように根付いていくのでしょうか?
そのメカニズムがわかれば、安全第一の組織文化を醸成していくことに活用できるはずです。
そこで今回は、組織文化ができるメカニズムを考えたいと思います。
結論を先に申し上げてしまえば、リーダーが示す言動の積み重ねで創りあげられるという事になります。
組織にはトップリーダーの「安全と効率がトレードオフになったら安全を優先する判断と行動を取るのが当たり前」というメッセージが、部長・課長・係長・職長・一般社員へとつながるコミュニケーションパイプの中を通っていくことでその当たり前が根付く≒安全文化が醸成される、のです。
「そんな当たり前な」と思われるかもしれませんが、ここができていなければそれ以外の打ち手は功を奏しません。
「安全第一」の言行一致
●トップリーダーが「安全第一。何よりも最優先すべきは安全である」というメッセージをことあるごとに様々な場面で発信する
●事業所全体の月次朝礼の冒頭に事業場トップリーダーが「ご安全に」というあいさつのあと、安全第一の重要性、効率と安全が対立構造になりどうしても両立が図れない状況になった場合は安全を最優先する判断と行動をするよう具体例を交えて話す
●のみならず、自らが頻繁に現場に顔を出し、現場メンバーに「安全と効率がトレードオフになったらまず安全を優先するようにね」と声をかける
●脚立を使った高所作業の様子を見て不安全行動と思えるものがあればトップ自らが指摘する
等々、言葉と行動のすべてで安全第一を訴え続けることです。
そして、その姿勢が、部長、課長、係長、職長へも徹底され、彼らの言動自体もトップリーダーと同じように安全最優先を訴えるものになります。
それが継続されることにより組織の隅々まで「安全と効率がトレードオフになったら安全を優先する判断と行動を取るのが当たり前」という認識が根付いていきます。
これが安全第一の文化が醸成されるメカニズムであり原理原則になります。
例えば、トップの安全メッセージは月次朝礼の時のみ、セクションリーダーの日々の業務における指示が「効率優先」となっているような場合、いくら作業標準指導書を作成し文書管理しようが、「残留リスク一覧や残留リスクマップ」を作成しようが、原理原則が崩れていれば砂上の楼閣です。
社員の中に「安全行動は褒められないが納期遅れは叱られる。効率を優先するのが当然。めったに事故なんで起きないんだし」という意識が当たり前として根付いてしまうことになります。
組織には権威勾配が存在します。リーダーの言動で「安全と効率がトレードオフになったら安全を優先するのが当たり前」を浸透させ続けることを外してはなりません。
職位の影響力を最大限に活かし、日頃から『 安全 > 効率 』マネジメントの徹底を図ることが重要です。