お役立ち道経営の行動理念(3) - 小さな業務でも次工程を意識して知恵を出す
「お役立ち道」の軸で情報を串刺しにして、社会をより良くする新たな価値を共創する。そのための行動理念
より良い社会を創るために、一人ひとりの「役立ちたい」意識を活かし、新たな価値を共創する「お役立ち道経営」。それを具体化していく上で必要とされるのが、五つの行動理念です。
今回は、<1.「お役立ち道」の仕事ぶりを磨く>です。代表の葛西が語ります。
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「お役立ち道」の仕事ぶりを磨く
「お役立ち道経営」を実践するための五つの行動理念
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<1.「お役立ち道」の仕事ぶりを磨く> 実践ポイント
- どのような仕事でも、次工程を意識して仕事をつないでいくことで、必ず社会へのお役立ちにつながっている。「私はお役立ちのバトンを渡す一員だ」と自覚しよう
- そのために、自ら仕事に意味付けをし、仕事の次工程へのお役立ちと、上下左右へのお役立ちを考えて、地道に工夫を重ね、できることを拡げて磨いて、その道のプロになろう
- こうして「お役立ちイメージ」と強みが確立できれば、今所属している組織の外でも活躍ができる。所属している組織とお役立ちイメージがマッチすると、「この組織(会社)」で仕事をする意味がみつかる
「お役立ち道の仕事ぶりを磨く」とは?
Q.では行動理念の一つひとつについてお伺いします。まず「お役立ち道の仕事ぶりを磨く」、これはどのような内容でしょうか?
A.ドラッカーは「企業は社会における富の創出機関であり生産機関である。(P.F.ドラッカー『ドラッカー名著集3 現代の経営[下]』上田惇生訳, 2006, ダイヤモンド社, Kindle版 №3666)」と言っています。社会をより良くするための価値を作るには、お客様をはじめとするパートナーと私たちが「自他共に喜ぶ」という視点を持つことが「問われる」のだと思います。
「お役立ち道経営」を標ぼうする企業は、どんな業種・業態であれ、「自分たちのお客様が、社会をより良くする価値を社会に提供し続けていく」ように支援をすることが求められます。お客様がその先のお客様のお役に立つ、最終的には社会の役に立つ。そのための価値提供を追究し、改善しながらさらに良いものを共創することを目指します。
このような仕事を実現するには、一人ひとりが、またチームとしても、企業全体としても、常に「我々も社会をより良くする価値を創る担い手」であり、お客様も含めて、「皆と知恵と力を合わせて、社会をより良くする価値」を共創するプロセスの一つを担っている、と言う認識で、仕事に取り組むことが、「お役立ち道」の仕事ぶりとなります。自分の業務の「次工程」へのお役立ちを意識しながら、最終的に、社会をより良くする価値を共創する仕事を担っていると意味付けができることが必要です。
「次工程」へのお役立ちを意識するとは?
Q.自分の業務の「次工程」へのお役立ちを意識するとは、どういうことでしょうか。
A.一人ひとりの業務は地道で、あまり社会に役立っていると感じない業務もあるかもしれません。しかし小さな業務でも次工程があり、そのまた次工程、次工程とつながっています。小さな業務のリレーが「お客様が社会に対して、社会がより良くなる価値を、共創する」という大義につながっていくのです。
だからこそ、自分が任された業務に対して「どうしたら次行程の役に立てるのかな」という意識を持つことが重要なのです。そう考えることで、その業務の中で知恵が出せたり、そのスキルを磨いたり、行動を変えたりと、自らを成長させ続けることができるようになります。
人の役に立ちたい、周りから感謝されたい、人の成長の役に立つことが嬉しい、人が頑張って成果を出すことを喜びに感じる…人間は自分のことだけではなく、自他共に喜べるものを本質的に持っています。
「私は、お役立ちのバトンを渡す一員だ」との自覚を持って、自分の業務と次行程が同じ方向を見て、互いに強みを活かしあって、社会をより良くすることに役立つ方向性を共有化し、その先の次行程に対してどうしたら役に立っていけるのか知恵を出し合う。このような「仕事ぶり」によって、社会をより良くすることに繋がる新たなもの(サービス・価値)が生まれていく。これが「お役立ち道の仕事ぶり」ということです。
Q.自分の業務の次の行程まで考える。そのために何を意識すればいいでしょうか。
A.業務の最終的な目的が、「社会をより良くする価値の実現」につながっていることをイメージすることが大切です。その上で、今の自分の業務は、全体のどの部分を担っているのかという認識を持つことです。
そして、次のプロセス(次工程)は、何を担っているのかを理解することです。
また、次工程の立ち位置に立って見ることも理解を進める上で重要なことであると認識することです。
なぜ「仕事ぶり」なのか
Q.「仕事ぶり」という表現をしていますが、「お役立ち道の仕事を磨く」ではだめなのでしょうか? ここをもう少し詳しく説明していただけますか。
A.「仕事ぶり」とは、仕事を行う様子や方法のことを一般的には言いますが、その意味の中に、スタンスも含めて「仕事ぶり」と表現しています。ここで言うスタンスとは、「仕事」そのものへの取り組み姿勢や、向き合い方だけではなく、自分自身への向き合い方、組織に対する向き合い方、チームメンバーに対する向き合い方まで、含んでいます。更に、働きかけの度合いも含めています。
よって、スタンス・意識・態度の全てが、「仕事ぶり」に現れることになります。「言われたことだけをやる」と言う「仕事ぶり」と、相手や周りに対するお役立ちを考えて仕事をする「仕事ぶり」では、明らかに違いが生まれてきます。
「仕事ぶり」の原点はドラッカーです。彼は著書の中で「組織の文化とは、仲よくやっていくことではない。大切なことは、仲のよさではなく、仕事ぶりのよさである。(P.F.ドラッカー『ドラッカー名著集2 現代の経営[上]』上田惇生訳, 2006, ダイヤモンド社, Kindle版 №2712)」と言っています。
私たちは、社会をよりよくする「お役立ち道」を常に意識しながら、仕事の意義を考え、自分の仕事ぶりを磨いていく。それがこの行動理念の意味するところです。
(つづく)「お役立ち道経営」記事一覧
※この記事は、外部ライター様による葛西へのインタビュー記事です。