お役立ち道経営(3) - 経済社会という枠にとらわれず、支援の幅を拡げていく
「だれかの役に立ちたい」という意識を経営に活かせば、企業も社会もより良くなる
ジェックでは、個人も組織もそして社会全体もより良くしていくための「お役立ち道経営」への革新をご提案しています。それは、「一人ひとりの中にある、誰かの役に立ちたいという意識」に焦点を当てることから始まります。
「経済社会」にとらわれず、「より良い社会づくり」のために貢献する。代表の葛西が語ります。
支援の対象を拡げた理由は?
Q.今後、ジェックでは支援する対象を企業以外にも拡げるとのことですが、その理由を教えてください。
A.お役立ちの対象が、「経済社会」に縛られることが良いのかと思うようになったからです。ジェックは「Y理論の人間観(D.マグレガーが著書『企業の人間的側面』で提唱)」をベースにした経営をしてきました。でも世の中はまだまだ「X理論の人間観」の経営をしているところもある。
X理論の経営というのは、人は働くことが嫌いというのが前提なので、管理チェックを厳しくして社員と組織をコントロールしようというものです。
これに対してY理論の経営は、人は働くことが本来好きというのが前提で、主体的に考えたり動いたり、責任を負ったりするしようとするための環境条件を整えていこうというものです。渋沢栄一さん、松下幸之助さん、本田宗一郎さん…こういった日本の代表的な経営者も同様の考え方をしてきました。
(注:当記事では、Y理論・X理論の人間観について、D.マグレガーの研究をベースに、ジェックなりに要約して表現しています)
今の世の中をみていると、政治と経済、企業を切り離すことができない。「経済社会」ということに縛られていると「お役立ち道」というものの適用範囲が限定的になってしまいます。企業に働きかける時は経営という切口からの「お役立ち道」ですが、より良い社会を実現するためには、官民一体となって、そこに住む人びとも巻き込んで、みんなで共創していきたい。そのようにして、社会全体が良くなることこそ、目指す姿だと考えたので、企業や組織対象という枠を取り払うことにしました。
さらに、その考え方に基づいて、ジェックの理念も一部変更をしました。
経済社会から拡げたきっかけは?
Q.経済社会という枠に縛られるのが嫌になった。何かきっかけがあったのですか?
A.以前から次第にそう思うようになってきていましたが、この時期に打ち出そうとしたのは、コロナ禍が大きなきっかけになったことは確かです。ワクチン開発の初期のころの利権争いを見て、そういうことをやってる場合じゃないだろと怒りに近い感情を覚えました。世界中の人たちの命が危険にさらされている。ワクチン開発には通常10年以上かかります。それを、うちはこう、うちはこれ、うちはこういう考え方と、各社がばらばらに進めているわけです。なぜ共創しないのか?なぜ国境を越えて皆の知恵を合わせて開発するような仕組みをつくれないのか?
企業同士の競争ならまだしも、国同士の覇権争いにも近い状況です。知恵と力を合わせてやればいいのに、やらない。これはいったいなんだろうと思いました。
このような世の中で、私にできることは何か。何を残すことができるのかと考えた時、若い人たちには私と同じように企業経営という枠に縛られたまま人生を歩んで欲しくないと思いました。もっともっと幅を拡げていろんなことに挑戦して欲しい。一人ひとりがお役立ちの使命に気づいて、それを実現していくために環境条件を整えたい。それなら企業経営という狭い枠組みを取り払えば、「お役立ち道」はもっと普及していくはずです。拡げられるところから拡げて、お役立ち道ファンを創ってほしいと思いました。
(第4回以降につづく)
※この記事は、外部ライター様による葛西へのインタビュー記事です。