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天命を信じて、人事を尽くす


目次[非表示]

  1. 1.変化の時代
  2. 2.変化はますます加速する
  3. 3.経営トップは変化を自ら起し舵を取る
  4. 4.変化を起こすには「企業の目的」の再定義から
  5. 5.経営トップのみならず、社員全員が目的意識を持つ
  6. 6.反対や抵抗も、天命を果たすエネルギーとなる
  7. 7.天命を信じて、人事を尽くせば…
  8. 8.「予期せぬ成功」が産まれる理由



変化の時代


世界では、様々な変化が、巷に溢れています。地球環境の変化から、不安定な気象状況や自然災害が世界各地で発生しています。政治の世界でも、各国の思惑が複雑化していて、先が見えない不安を感じる毎日です。

株価の状況も、かつてのリーマンショックを彷彿させるような、乱高下が繰り返されています。

このような事象は、ますます激しさを増し、正に、カオス(混沌)の時代と呼ぶに相応しい時代になっています。「不安定な状況や何が起きるか解らない状態は今後も続く」というのが、多くの経営者の見解ではないでしょうか。



変化はますます加速する


昨今、ある企業の部門トップに面談をしました。その方は、2ヵ月も前にアポイントを入れようとしても、「時間が取れない」とのことでした。ようやく面談の機会を得て解ったことは、大きな企業(グループ企業も含め)再編を行っており、多忙を極めておられたとのことでした。

こういった案件は、通常、経営トップから、ある程度の時間をかけてシミュレーションを綿密にして、実施するのが一般的です。業務内容、業務のやり方、制度や仕組み、そして組織文化までも違う組織体を一つにしたり、分割したりするのですから、ある程度の時間がかかるのが普通です。軌道に乗せるとなると、更に時間がかかります。

ところが、ここ近年では、未来を見据えた積極的な再編を、短期間で実現させ、経営基盤を強くするための模索が、活発に動いているということを、あらためて実感しました。

このように、業種・業界を超えて、様々な模索をされているといっても過言ではありません。我々は、混乱(カオス)の時代の真っ只中にいると言えます。

こうした「カオス」の状態の中での変化が、ますます加速していく中で、我々企業経営者は何を目指し、何を判断基準にすれば良いのか、考えてみたいと思います。



経営トップは変化を自ら起し舵を取る


それは、「目的を鮮明にした変化を、自ら起すよう舵を取ること」であると考えます。

変化の大きな時代には、変化を待ち、変化に対応するだけでは間に合いません。そうは言っても、とにかく変化すれば良いと言うものでもないような気がします。変化には、「一時流行的な変化」と「千載不易的な変化」があると考えています。

「一時流行的な変化」は、上手く当たれば「労少なくして益多し」と言うメリットがあります。それに引き替え、「千載不易的な変化」は、目に見えないところでの改善や改革が多く、「労多くして益は後程」と言うケースが多いようです。しかし「千載不易的な変化」の方が「信用」と言う観点では、より良く積み重ねられると感じます。

どちらを選択しても、経営の意志です。では、どちらを選択するか、もしくは両方か、さらには、一石五鳥十鳥を狙うかは、さまざまです。我々経営トップが忘れてはならないことは、「自社が市場に対して提供する価値は何か」と言う原点に立ち戻り、判断をする必要があるということです。

つまり、「我々は、何を成し遂げたいのか」、具体的には、「どのような人に」「どのような価値を提供して」「どのようなお役立ちをしたいのか」という自社の理念や経営トップ自らのお役立ちビジョンを変化の目的にし、その実現のために変化を自ら起すのです。



変化を起こすには「企業の目的」の再定義から


ある企業のトップにお聞きした話ですが、数十年前、新たなビジネスモデルをつくり、その一番手となるまでに至り、利益を創出していますが、先のことを考えたときに、限界を感じるようになったそうです。しかし、新たなビジネスモデルが簡単にできるほど、今の世の中は、単純ではありません。

そこで、経営幹部や幹部候補生も含めて、組織の全知を結集して、ビジネスモデルの再構築に取り組みはじめておられます。自分たちは今後、どのような存在価値を発揮していけば良いのかと言う企業目的から、再考されているとのことです。

当社の場合は、経営理念を再定義しました。当社は、「行動理論の改革で企業の発展を図る」と言う経営理念で創業し、その後、「集団性格」が加わり、「行動理論の改革と集団性格の革新で企業の発展を図る」という経営理念で、長年舵を取り続けていました。

しかし、このカオスの時代にあって「目的」を明確にすることが、社員集団としての求心力を高めると考え、「お役立ちに満ちた経済社会を創る」と言う目的を打ち出しました。つまり、奪い合いのビジネスモデルではなく、お役立ちに基づいたWin-Win-Winのビジネスモデルを実現する支援を本気でして行こうということを明確にしたのです。

当社の社員は、この企業目的に賛同してくれている社員が多く、それは、企業体質の柔軟性と創造力を引き出すことにも貢献していると感じています。



経営トップのみならず、社員全員が目的意識を持つ


経営トップとして自問するだけでなく、社員に対し「皆さんは、この会社という場を活用して、何を成し遂げたいだろうか」と問いかけてはどうでしょうか。

社員の誰もが、自分の強みを活かして役立ちたいと考え、今の仕事や職場を選択しているはずです。その人の今までの経験や強みは、誰も真似ることができない、かけがえのないものといえるでしょう。「自分が役立つ使命は何か」「何を成し遂げたいのか」「自分をもっと輝かせるために何をすれば良いのか」を考えることにより、自分で自分を動機づけ成長し続けられる、つまり、変化を起こし続けることができる人材になることにつながります。

これを「お役立ち使命」といいます。

当社は、社員がそれぞれ描いた「お役立ち使命」を全員で共有し、互いに「お役立ち使命」を果たし合うことをマネジメントの中で実現していこうと挑戦しています。かけがえのない個人の経験や、強みを中核にした個性を、社員同士が尊重し合い、活かし合うことにもつながります。



反対や抵抗も、天命を果たすエネルギーとなる


「かけがえのないお役立ち使命」のことを、私は「天命」と呼んでいます。

天命とは、「結果や運を天に任せること」や、「天啓によって、悟ること」だけではありません。自分にしかできないお役立ち使命もまた「天命」と言えるのです。そして、お役立ちの使命感に基づいて、「今、ここ」に集中し、今の仕事の中で、お役立ちの知恵や力を発揮している過程も、天命と呼べるのではないかと考えています。

我々は、天命と言う目的を果たすためならば、何を変えれば良いのかも気づくはずです。そして、その変化は愉しいはずです。愉しいどころか、困難が立ちはだかった時に乗り越えるエネルギーにもなるのではないでしょうか。


私自身の体験をお話します。

今から15年ほど前に、現場の責任者として、当社の新ビジョン・新戦略を組織に浸透させることに全力を傾けていた時があります。この取り組みは、私にとって、「お役立ち使命=天命」と認識していました。

社員の大半が不安に感じながらも、取り組もうとしていた頃、一部の社員たちが、戦略や浸透策を止めさせようとしてきました。毎日のように、批判と非難と抵抗との戦いでもありました。

ある日、極端に反対するのには、必ず理由があり、その理由の中には、私のスタンスのどこかに問題があるのではないか…と考えたところ、私の中に「肉を切らせて骨を断つ」という考え方があることに気づきました。これは、対立を前提としています。

私自身が、対立を前提としたスタンスを持って接していれば、いつまでも反対や抵抗は収まらないと気づいたのです。その後は、「私心を捨ててこそ、共に活きる」と言うスタンスに立ち戻り、「反対や抵抗」は、そのスタンスを磨く糧とするように心がけました。

そうすると、一人、また一人と、理解者が増えてきました。理論的に正当性を訴える人、小さな成果で証明する人、理論を他の人に伝授する人など、それぞれの強みを活かして、先導する人達です。その人達とは、同志的繋がりを感じるようになってきました。

更に、私以上に新ビジョンや新戦略を深く理解し、応用させるメンバーすら出てきました。この同志的繋がりを感じられるメンバーは、コォ・イノベーター(変革の協力者)として、抵抗や反発を、成果でクリアする先導者集団となってくれたのです。その人数が、ある割合を超えた時に、一気に浸透して行ったことを体感しました。この充実感と、メンバーが成長する喜びは、何物にも代えがたいものであることはいうまでもありません。

これは、目的に立ち戻り、自分のスタンスを磨く糧としたこと、コォ・イノベーターが産まれたことで、反対や抵抗すら変革のエネルギーになった経験になったのです。



天命を信じて、人事を尽くせば…


「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがあります。私は、ビジネスでは、「天命を信じて、人事を尽くす」と言う方が良いのではないかと思っています。

「天命を信じて」とは、自分の「お役立ち使命」を意識して行動している時に、自分の強みが活かされ、お役立ちの知恵が産まれ、ワクワクとした底力が出せた自分、出せる自分を信じるということです。

「人事を尽くす」とは、自分の「お役立ち使命」を果たすための、お役立ちイメージ・ビジョン・戦略を思考し、スキルを磨き、お役立ち行動を取り続けることです。

そうすれば、「天は動く」のです。



「予期せぬ成功」が産まれる理由


「天」とは、協力者であり、チームであり、組織であり、お客様であり、その勢いとも言えます。「動く」とは、出会いがあり、協力者となり、知恵と力のシナジーが産まれることを言います。そうすれば、不可能も可能になる確率が高くなるのです。

このように、かけがえのない天命を信じ、天命に向かって人事を尽くしていけば、周囲がその実現に協力し、P.F.ドラッカーの言う「予期せぬ成功」までもが産まれてくるのです。

このようなカオスの時代で、変化が加速する「今」だからこそ、経営トップは、組織の目的・自分自身の目的を再確認することです。そして、互いの「お役立ち使命=天命」に向かって一人ひとりが仕事を謳歌し、共創し、自ら変化を起こすために、社員をリードしていかなければなりません。

企業でも個人でも、最終的な目的は、「社会をより良くしていくことに役立つ存在であり続けること」であり、その実現のためにお客様と共に新たな価値を創り続けて行きたいと思っています。



葛西 浩平
葛西 浩平
株式会社ジェック 代表取締役会長

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