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「Society 5.0」における企業に求められる人材像

2019年4月18日に、内閣府による「第43回総合科学技術・イノベーション会議」が開催されました。「Society 5.0」の社会を誰もが享受し、SDGsを達成するために、AI時代の人材育成・教育改革について、議論がなされました。ここでは、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」として、「数理・データサイエンス・AI」の基礎を国民全員が学習し、さらに、その分野で活躍する人材の育成が重要であると打ち出されました。

前回、「Society 5.0」における企業革新の方向性についてご紹介しました。今回は、企業に求められる人材像について、ご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.前回のおさらい-「Society 5.0」と企業革新の方向性
  2. 2.求められる人材像
    1. 2.1.文部科学省「Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~」
    2. 2.2.経団連「Society 5.0 -ともに創造する未来-」
    3. 2.3.内閣府「第43回総合科学技術・イノベーション会議」
  3. 3.今我々ができること - 強み × 多様性 × 共創
    1. 3.1.自分自身が誰の何に役立つ人になりたいか。それを活かす強みはなにか。を確立する
    2. 3.2.多様性を受け入れると同時に、自分自身も「多様性ある人」として引き出しを増やす
    3. 3.3.三人寄れば文殊の知恵。共創によるイノベーションを意識する



前回のおさらい-「Society 5.0」と企業革新の方向性


前回のおさらいを簡単にしておきます。

Society 5.0 とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、「人間中心の社会」のことです。

AIやビッグデータ、IoTなどの科学技術を人々の暮らしに活かすことで、誰もが幸せな人生を享受することができる社会であるといえるでしょう。そして、それは「誰かが創る」のではなく、我々一人ひとりが社会に参画し、「ともに創る」ことで実現するのです。

その中で、企業は、進化する科学技術を活用し、一人ひとりが豊かに暮らすことができる社会をつくる役割があります。そのためには、新しい価値をどんどん創りだしていくことが求められます。これがイノベーションです。

そして、イノベーションを生み出す企業として、三つの指標をご紹介しました。それは、「挑戦」「協調」「お役立ち」の三つの価値観とそれに基づく行動様式が、その企業の「当たり前」になっているかどうかです。上意下達の組織が当たり前とされてきた時代が長く続き、現在でも、イノベーションを阻む要因となっている場合もあります。

このように、企業も、単に「科学技術を駆使する」だけでなく、それを使って新しい価値を生み出すことができる組織文化へ革新をしなければ、これからの市場では、選ばれ続けないのではないでしょうか。



求められる人材像


求められる人材像については、各方面で検討がされています。


文部科学省「Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~」

共通して求められる力

  文章や情報を正確に読み解き対話する力

  科学的に思考・吟味し活用する力

  価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

新たな社会を牽引する人材

  技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材

  技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材

  様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材等

「Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが変わる~」文部科学省・Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会  平成30年6月5日資料(PDFファイル)


経団連「Society 5.0 -ともに創造する未来-」

・定型業務の多くはAIやロボットに代替可能になるため、求められる人材像は大きく変わる

・自ら課題を見つけ、AIなどを活用してそれを解決できる人材が必要となる

・多様性をもった集団において、リーダーシップを発揮できることも重要となる

「Society 5.0 -ともに創造する未来-」一般社団法人 日本経済団体連合会 2018年11月13日資料(PDFファイル)


内閣府「第43回総合科学技術・イノベーション会議」

・デジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」の基礎を全ての国民が育み、あらゆる分野で人材が活躍することを目指す

・社会善や共通善という考え方や感性はAIにはない。多様な経験やリベラルアーツから導かれる本質の探究心、直観や感性を人として身につけ、AIに使われるのではなく、AIを使いこなすクリエイティブな人材の育成が重要となる

「第43回総合科学技術・イノベーション会議 議事録(案)」内閣府 平成31年4月18日資料(PDFファイル)


つまり、ビッグデータから導き出される情報に対し、盲目的に振り回されることなく、深い洞察力をもって、「社会のため、一人ひとりのため」に、課題解決や価値創造ができる人、さらに、一人ではなく、多様な人々のアイデアをまとめ上げるリーダーが、求められていると言えるのではないでしょうか。



今我々ができること - 強み × 多様性 × 共創

このような人材になるために、我々が意識して取り組むことをまとめてみました。


自分自身が誰の何に役立つ人になりたいか。それを活かす強みはなにか。を確立する

科学技術が発達し、情報があふれ、何でも実現することができるようになりました。だからこそ、「自分はこの分野で、役立つ人材になる」と決め、自分の強みを確立しないと、結局、何もできずに終わってしまいかねません。課題解決や価値創造は、一人の力ではできず、多くの「専門技術」を確立した人々の協業によって、実現します。その時に、「この人のこの強みを活かしたい」という、自分ならではの何かを磨いておきましょう。


多様性を受け入れると同時に、自分自身も「多様性ある人」として引き出しを増やす

多様な人がいるから、これまでにないイノベーションが生まれます。ですが、自分自身も、いろいろなアンテナを立て、「知識や技能・考え方の引き出し」を増やして「多様性ある人」になると、これまでにない問題に直面したときや、新しい行動を起こそうとしたときに、「知識や技能・考え方の引き出し」から応用できそうな解決策が見つかります。このような、「知識や技能・考え方の引き出し」が多ければ多いほど、また、「知識や技能・考え方の引き出しをたくさん持った人が集まる」ことで、さらに、高度な問題解決や、価値創造ができるようになります。

「知識や技能・考え方の引き出し」は、浅く・広くでもかまいません。実際に実現する際は、それらの引き出しを増やす過程で広がった「専門技術」を有した人材に協力を依頼すればよいのです。だからこそ、前述した「強み=専門技術」の確立を行いながらも、引き出しをたくさん作ることを意識していきましょう。


三人寄れば文殊の知恵。共創によるイノベーションを意識する

複数が集まれば、総花的・打算的なアイデアにまとまってしまうから、一人で考えた方が良いアイデアが生まれるのではないか、これは、誰しもが思うことです。実際、誰の意見も否定することなく、取り入れてしまうと、イノベーションどころか、何を目的にしようとしているのか、まったくわからなくなってしまうことも多いものです。ここではアイデアの「創発」を狙っており、それぞれが有している「多様な知識や技能・考え方の引き出し」を信じ、一つのアイデアをたたき台として、さらにイノベーティブなアイデアを乗せていく、といったプロセスを意識しながら、「三人寄れば文殊の知恵」を実践してみましょう。



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