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今、必要なフォロワーシップとは

それは「上司がだらしない」のか?

某メーカー開発部の小池さんと営業部の遠藤さんは、入社10年目の同期です。久しぶりに、居酒屋でお互いの近況を語り合っています。

小池さん:自分たちもチームでは中堅だし、若手を育てて、会社を盛り上げていきたいね。
遠藤さん:相変わらず前向きだね。うちのチームは課長がだらしないからそれどころじゃないよ。
小池さん:T課長? いい人そうじゃない。
遠藤さん:ただのお人好しだよ。指示はあいまいだし、営業手法に関する考え方が古い。思考が10年前で止まってるんだよ。
小池さん:ねえ遠藤、フォロワーシップ発揮してる?
遠藤さん:当たり前だよ。課長がいない時は自分が朝礼やってるし、後輩の面倒だって見てるよ。
小池さん:というか、それは昔のフォロワーシップだよ。
遠藤さん:え?


なぜ、フォロワーシップが必要か

管理職前の比較的経験を積んでいる、いわゆる中堅社員にはフォロワーシップが期待されています。プレイヤーとして自分の仕事をこなすだけではなく、上司をフォローすることが期待されます。
しかし、「自分は管理職ではない。上司をフォローする義務はない」とばかりに、自分の仕事だけを黙々と行う人がいます。それどころか、先ほどの遠藤さんのように「上司がだらしない」と非難する人も珍しくありません。

確かに、チームの方向性を示し、メンバーを育成し、チームの実績を高めることはマネジャーである上司の仕事です。しかし、市場のニーズが多様化し、お客様一社一社、一人ひとりに個別の対応が求められる今、上司がすべての状況を把握することは困難です。
また、役割分担が進み、個々の社員の専門性が高まっているため、メンバーの方が上司よりも知識・スキル共に高いことも珍しくありません。
つまり、正しい判断を行うことが難しい上に、メンバーを指導することも大変ということです。

難しい状況で上司が右往左往したり、誤った判断を下したりすれば、当然メンバーの仕事はやりにくくなります。
上司は神様ではありません。ただの人間です。メンバーが補佐し、上司がマネジメントをしやすくすることで、チームのそして自分の実績を高める。それこそがフォロワーシップです。


今すべきフォロワーシップ

では、フォロワーシップとは具体的に何をすることなのでしょうか?
以前は、「業務の一部を手伝う」という認識でした。上司が不在時に代わりに業務を行う、メンバーの指導を手伝うなどです。

しかし、市場や顧客の変化が激しくなり、それだけでは足りなくなりました。そこで、市場や顧客の情報を吸い上げて報告し、上司が判断しやすくするということが、フォロワーシップの重要な要素に加わりました。以前にも増して、「報告・連絡・相談」の大切さが見直されているのもこのためです。

今、最も求められているフォロワーシップの要素は上司への「提案」です。
「顧客戦略」「業務改善」「メンバー育成」などについて上司に提案をします。なぜなら、ますます市場変化が激しくなり、非常に速いスピードが要求されているからです。
上司は情報が多すぎて、じっくり次の打ち手を考えている時間がなくなっています。だからこそ「これでいきましょう!」と提案し、意思決定のスピードを速める補佐をすることがフォロワーシップとなります。

中堅社員の方から、「え、上司に提案する? ムリムリ、どうせ突き返されるだけだよ」という意見をよく聞きます。確かに、提案を突き返す上司は多くいます。
ではなぜ、突き返されるかというと、それは「メンバー目線」で作成された提案だからです。「これをやったら、私たちがやりやすくなる」「この提案を実施すれば、私たちの成果が高まる」といった視点の提案は、上司にとっては単なる「自分都合」に映り、メリットを感じません。
なぜなら、上司は上層部や顧客からさまざまな要求を突きつけられており、そちらの方に意識が向いているからです。

そこで、「この提案を実施すれば、会社全体の利益につながり、うちのチームの存在価値が高まる」「お客様満足が高まり、チームの実績に直結する。ひいては、全社的な利益に貢献できる」が中心に据えられていることが必須です。
なお、このような提案を作成するためには、自分自身が上司の目線で物事を考えなくてはなりません。「今、会社はうちのチームに何を求めているのか?」「どうすれば、うちのチームの存在価値が高まるか?」「自分が上司だったら、どのように動くか」を考え抜くのです。

このように、会社全体の動きをとらえ、チームの存在価値を高める動きをする人は、もはや単なる「中堅社員」ではありません。チームの、そして会社の成長の中核を担う「中核社員」です。

中核社員として今の時代のフォロワーシップを行い、自分の存在価値を最大限に発揮したいですね。


*この記事は株式会社ジェックの「行動人」445号より転載・加筆いたしました。

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