お役立ち道の文化をつくる ~いま、実現するお役立ち道経営 第2回
ジェックでは、お役立ち道経営を次のように定義しています。
お役立ち道経営とは「お役立ち道の文化をつくり、社会をより良くする価値を共創し続ける経営」。
では、お役立ち道の文化とは何でしょうか?
お役立ち道の文化とは
それは、全社が一丸となって、お客様、その先のお客様、そしてより良い社会に向けて役に立つことを追求し、極め続ける文化です。
そのためには、会社は改めてパーパス(存在意義)を明確にし、社会へのお役立ちを宣言することが必要です。
その上で、各部門はパーパスに基づいた役割コンセプトを、そして社員一人ひとりは「誰に、どのようなお役立ちをしたいか」といったお役立ちイメージを持つことが理想です。
会社、各部門、そして社員一人ひとりが「昨日より今日」「今日より明日」とお役立ちを追求し、極め続けるので「道」がついて、「お役立ち道の文化」と呼んでいます。
ただ、「お役立ちなんて理想論」「お役立ちでは企業は業績を上げられない」という人がいるかもしれません。本当にお役立ちは理想論でしょうか。
私たちの顧客は、「その先の顧客」から選ばれようと必死になってビジネスをしています。しかし、近年のビジネス環境の激変やニーズの多様化の中、様々な悩みや課題を抱えています。
そのような中、私たちが「その先の顧客」のニーズの変化をいち早くキャッチし、顧客とタッグを組んで新たな価値を創造(価値の共創)することが求められています。そして、それこそが企業の業績向上につながります。
「その先の顧客」は様々な社会課題の渦中にいます。
それは少子高齢化、人手不足、価格の高騰、急速なデジタル化、働き方の変化、感染症、自然災害、教育問題等様々です。私たち企業が、このような社会課題に目を向け、「いま社会で何が起こっているか?」「私たちが役に立てる点はどこか?」と常日頃から考えていることが、「その先の顧客」の変化そして新たなニーズをキャッチすることにつながるのです。
つまり、お役立ち道の文化が醸成されている企業は、その先の顧客の変化、市場の変化、そして世の中の変化に気づくのが早く、いち早くニーズをキャッチするため、結果的に業績向上につながりやすいといえます。
もちろん業績が上がれば、さらにより社会をより良くするための投資をすることができますので、ますますお役立ち道経営にまい進することができます。
マイケル・ポーターは本業のビジネスと社会課題解決を両立させることをCSV(Creating Shared Value)と呼んでいます。しかし、欧米のCSVは儲けるという目的を達成するために、社会の役に立つという手段を活用するという発想です。
一方で、一橋大学の名和高司教授は日本企業の根っこには武士道(社会価値)と商人道(経済価値)があり、当たり前のように両方を同時に追い求めていると述べています。そして、日本企業の良さを生かすためにも、社会の役に立つことを目的とし、儲けることはその手段であると捉えることが大切であると強調しています。
会社、各部門、そして社員一人ひとりが「昨日より今日」「今日より明日」とお役立ちを追求し、極め続けるので「道」がついて、「お役立ち道の文化」と呼んでいます。
お役立ち道の文化をつくり上げているものとは
ジェックでは「挑戦の価値観」「協調の価値観」「お役立ちの価値観」という3つの価値観がお役立ち道の文化醸成に影響を与えていると考えています。
ジェックと慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科と共同で開発した組織文化診断というサーベイでもこの3つの価値観を用いています。
◆お役立ちの価値観:社会や市場の役に立とうとする価値観
◆挑戦の価値観:あらゆる可能性にチャレンジしようとする価値観
◆協調の価値観:共創し協働しようとする価値観
3つの価値観の関係性
【お役立ちの価値観に偏った組織】
従業員一人ひとりが「市場の役に立ちたい」というお役立ちの価値観を持っていたとしても、挑戦の価値観が低ければ新たな動きを起こすことはありません。
また、協調の価値観が低ければ組織を挙げて新たな価値を生み出すことが困難になります。
つまり、様々な理想論を話す人はいるものの、ほとんど変化を生み出すことができない組織になってしまいます。
【挑戦の価値観に偏った組織】
従業員の一人ひとりの挑戦の価値観が強ければ、新たな動きを起こし、何とか成果につなげようとします。
しかし、「お役立ちの価値観」が弱いため、行動の原動力は「高い給与が欲しい」「出世したい」といった利己的なものが中心となります。
そうなると、成果を上げるために手段を選ばないという状況になりがちであり、コンプライアンス違反などが起こる可能性もあります。また、協調の価値観が弱いため、ともすると足の引っ張り合いが起こることも予測されます。
【協調の価値観に偏った組織】
従業員一人ひとりが協調の価値観を持っていたとしても、挑戦の価値観が低ければ「仲良く、今の状況を維持する」という選択をしがちです。
つまり、組織を変化させなくてはいけないと分かってはいても、暗黙の了解で「余計な動きを起こさない」ということになるのです。また、お役立ちの価値観が低いため、市場に目が向かず、社内の政治だけに興味を示すような集団になってしまいます。
分かりやすく、少々極端な例を出しましたが、全社を挙げて世の中の役に立つための新たな価値を生み出す「お役立ち道の文化」を醸成するためには、「お役立ち」「挑戦」「協調」の3つの価値観を同時に高めることが必須なのです。
さらに深くまとめています。
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