あなたは話しかけやすいマネジャーですか? ~コミュニケーション基本の「はひふへほ」~
若手メンバーの悩み
入社一年目社員対象のフォロー研修でのことです。研修内で、まずは「うまくいっていること」を発表してもらいました。
「お客様とスムーズに話せるようになった」「一人で契約が取れるようになった」など、嬉しそうに話す人が目立ちました。
その後に「うまくいっていないこと・悩んでいること」を発表してもらったのですが、次のような悩みが多く出てきました。
・マネジャーや先輩が忙しそうで相談するのが難しい
・帰りたいが帰れない雰囲気である
・会議で発言してもよいかどうか迷う
・いろいろ指示されてキャパシティーオーバーになるが断れない
これを見て気付いたのは、全てコミュニケーションの悩みであるということです。
「最近の若手はコミュニケーションが下手だから」と切り捨てないでください。
原因は、若手ではなくマネジャーの方にあるのかもしれません。
マネジャー多忙の時代
仕事の効率化が求められ、人員を減らされ、担当する顧客が増えるといった状況も多くなっています。すると、マネジャー自身もプレイヤーの仕事を抱えることとなり多忙を極めます。そのため、メンバーとコミュニケーションを取る余裕がなくなってしまっています。
結果的に、先述のような「若手の悩み」が増える傾向にあります。つまり、コミュニケーション上の問題が横行しているのです。
では、どうすればいいでしょうか。
忙しい中でも、マネジャーはコミュニケーション上の配慮をする必要があります。マネジャーが余裕を持ったコミュニケーションをしていれば、職場は少なからず和み、話しやすい雰囲気が生まれます。
そこで、これだけはというコミュニケーションのポイントをご紹介します。
マネジャーのコミュニケーション「はひふへほ」
ボイントを「はひふへほ」で整理します。
「は」話しかける
マネジャー自身が忙しいと余裕がなくなります。事務所に入るとメンバーに脇目も振らず、自分の机に直行し、座るなりパソコンを叩き出し、眉間にはしわが...。これではメンバーはなかなか相談できません。
マネジャー自ら、「おはよう、風邪は治った」「あ、昨日の商談どうだった」などと気さくに話しかけることが大切です。自ら気さくに話しかけるマネジャーには、メンバーも気さくに話しかけやすいでしょう。「相談しづらい」といった悩みは解消されるはずです。
「ひ」平等に接する
マネジャーも人間ですから、相性が合うメンバーと合わないメンバーがいるのは否定できません。しかし、相性が合うメンバーとばかり話したり、食事をしたりしていると、他のメンバーからひんしゅくを買います。
どのメンバーにもできる限り平等にします。少し接する回数が少ないメンバーがいたら、意図的に接する回数を増やしましょう。そうすれば、「自分にも気を向けてくれている」と安心感を持ってもらえます。
「ふ」不満にも耳を傾ける
メンバーが不満を口にすると、「そんなマインドだから成果が出ないんだ!」などと一括してしまうマネジャーがいます。すると、メンバーも不満を口にすることが怖くなり、口をつぐんでしまいます。つまり本音を言わなくなります。「会議で発言してよいかどうか分からない」という悩みは、自分の意見を不満と捉えられて一喝されるのではないか、という恐れからくることが多いようです。
ぜひ、不満やネガティブな意見にも真摯に耳を傾ける余裕を持ってください。もちろん、迎合してはいけません。しかし、「マネジャーはとりあえず話を聞いてくれる」とメンバーが感じれば、いろいろな相談や意見を言ってくれるようになります。
結果的に「報連相」が促進され、良い情報が集まってくるようになるはずです。
「へ」返答・返信を行う
メンバーから質問されたことや相談されたことに対する返答・返信を、必ずしてください。非常に忙しいマネジャーが増えている現在、メンバーからの質問に返答・返信すること自体を忘れてしまう人が多発しています。
単に忙しいから返答していないだけでも、メンバーから見ると「なぜ、返答してくれないのか」「怒っているのではないか?」などと良からぬ想像をしてしまいます。メンバーからの質問や相談への返答は基本3時間以内。それより遅れる際は「遅れる」旨を返答してください。
「ほ」褒める
褒められて嫌な気持ちになる人はいません。例え「わざとらしい褒め方」でも嬉しいものです。そして、ほとんどのマネジャーは褒めることが大切であることを分かっています。しかし、なぜか褒めていないようです。
褒められていないとメンバーは自分に自信を持てなくなります。自信を持てなければ、マネジャーに自分の意見を言うことなどできません。そして、断ることもできなくなり、キャパシティーオーバーになっても仕事を受けてしまうことに。その結果、大幅な納期遅れが発生し現場が大混乱に、ということもあり得ます。そのような状況になると、褒めるどころかマネジャーからは厳しい指摘が…。チーム内にそのような悪循環を引き起こしたくなければ、時々でよいので褒めてください。
マネジャーが余裕のない時代ですが、「はひふへほ」くらいはできると思いませんか?
*この記事は株式会社ジェックの「行動人」455号より転載・加筆いたしました。