メンバーのPDCAサイクルを機能化させるツボとは
ビジネス演習室 初級管理者編
リーダーなら誰しも、自分のメンバーがやらされている意識ではなく、自主的に目標達成に向かってPDCAサイクルを回し続ける状態を望んでいることでしょう。
ところが、そのような集団をつくるにはどうしたらよいのだろうかと悩んでいるリーダーは少なくありません。
そこで、時には強制したり、時にはお願いしたりしてみるなど、あの手この手を打っているようですが、どちらも効果は今一歩のようです。
中には、メンバーのマネジメントを放棄して、リーダー自身がメンバーと同じくプレイヤーに徹してしまうケースも珍しくありません。
仕事の目的が中核のO-PDCAサイクル
では、PDCAサイクルを自主的に回し続けているメンバーは、そうではないメンバーと何が違うのでしょうか。これまで出会ったハイパフォーマー集団の共通点は、次の二つでした。
・自部門の仕事に誇りを持っている
・仕事で自分の強みをどのように発揮して、どういうお役立ちをしていくのかが明確。
要するに、ハイパフォーマー集団は自らの仕事の「目的(Object)」が明確であるため、単なるPDCAサイクルではなく、O-PDCAサイクルがスパイラルのように回っているのです。
役割使命コンセプトのつくり方
ジェックでは、仕事の目的であり、PDCAサイクルを機能化させるツボとして、「役割使命コンセプト」の作成を提案しています。
「役割使命コンセプト」とは、「顧客または社内顧客に対し、自部門が独自に提供する顧客価値を明確に表現したもの」です。「役割使命コンセプト」の作成について、3つの枠組みと記入上の留意点を具体的に説明します。
1)顧客は誰か
①顧客とは「社外顧客」だけではなく「社内顧客」も含まれます。経理や総務のような管理部門にとって、営業や製造部門が「社内顧客」に該当します。
②次に、顧客のその先の顧客を考えてみます。これを考えるのは、次の「顧客へのお役立ち」を考える際に不可欠です。顧客が複数の場合には、一番重要な顧客、または顧客グループに綾ってください。
2)顧客にどういうお役立ちをするのか(提供価値)
①顧客への提供価値を考える際には、顧客から何を期待されているのかという、逆の発想で項目を書き出すとよいでしょう。
②次に、顧客が「顧客の顧客」へ提供すべき価値を考えてみましょう。その際、「顧客の顧客」の視点(例えば、顧客が小売業の場合、地域生活者の視点)で、欲求・要望・不満などを考えてみることが留意点です。
3)お役立ちの際の「自部門ならでは」の強みは何か
①「自部門の強み」とは、他にない才能や資質であり、知識やスキルだけではなく、責任感やチャレンジ精神、チームワークなどの価値観や風土も重要な要素です。
②経営理念やビジョンなど、会社が自部門に期待していることは何かを書き出してみましょう。これらには、会社としての独自の提供価値が凝縮されています。
役割使命コンセプトにまとめよう
最後に、ここまで書き出した内容を、先にご紹介した「役割使命コンセプト」の定義を参考にしながらまとめてみましょう。
この作業では表現にこだわり過ぎず、「リーダーの覚悟づくり」ととらえてください。
出来上がった「役割使命コンセプト」は、「具体性」(現場での実践行動イメージが具体的かどうか)と「革新性」(過去の延長線上のレベルではないか)の2つの点でチェックしてください。
では、実際に自部門の仕事の目的である「役割使命コンセプト」をつくってみましょう。
演習「役割使命コンセプト」作成
役割使命コンセプト作成シートのダウンロードは>>こちらから
*本原稿は、本原稿は株式会社ジェック「行動人」440号より転載、一部加筆しました。