課題解決のカギを握る「現状把握」を組織文化診断で可視化する
目次[非表示]
- 1.よくお聞きするお悩み
- 2.組織文化診断結果の客観性
- 3.重要なのは課題設定
- 4.組織文化は土台
よくお聞きするお悩み
「コミュニケーションが活発ではない」「若手社員の離職が増えている」「メンバーの業績達成意欲が低い」などのお悩みがある場合、どのような手を打つのが効果的でしょうか?
この場合、「マネジメントに手を打つべき」と思われる方は多いかと思います。
ある事例では、マネジメント研修を実施してみたところ、「業績管理ができていない」「マネジメントに対する意識にばらつきがある」「部門間連携ができていない」など課題は浮き彫りになったのですが、現状把握があいまいで、課題の精度もよくないまま、現場(マネジャー)に問題意識を十分にもたすことができずに終わってしまいました。
そのため、問題意識はあるけれど他人事で、行動変容に繋がらない/継続しないままとなります。
また別の事例では、若手がなかなか育たないため、マネジャーが主力プレイヤーとなっているケースです。
その結果、メンバーの育成指導に時間があまり取れず、ますます若手が育たないという状況に陥ってしまっていました。
マネジャーとしての意識やスキルは十分にあってもプレイヤーとしての時間を多くとらざるをえないため、マネジメントが機能していませんでした。マネジャー個人の能力頼りにも限界があります。また組織としてマネジメント不全が慢性的になってしまいます。
さまざまな要因が絡み合って生まれている現状。
解決するためには何から手を打つべきかが一番の悩みかと思います。
組織文化診断結果の客観性
今回、「課題解決のカギを握る現状把握」と書かせていただいたのは、診断結果の数値の客観性にあります。
例えば、他部門のマネジャーから「あなたの部門は他部門連携がない、自分たちだけで完結しようとして情報共有もないではないか」と指摘されたマネジャーが「そんなことはない、この前もちゃんと報告した」と応えたとします。
どちらが正しいでしょうか。
一つの事例だけに固執しての意見なのか、いつものことなのか、ひょっとしたらマネジャーの思い込みでメンバーは別の認識があるかもしれません。
また、「チャレンジしろと会社は言うけど無理だよな」という空気を何となく感じていたとします。診断結果で数値としてその傾向が明確化されれば、手を打たざるを得ないでしょう。
このように、診断結果は現状の意識を数値で表すため、客観的に見ることができます。
あとはなぜそのような数値となっているか分析し、打ち手に優先順位をつけて、アクションプランを立てていきます。
なお、組織文化診断でわかるのは課題だけではなく、その組織の強みも十分に明確化されます。
また、施策後の検証として使う場合など、明らかな上積みが見えることもさらなるやる気につながります。
重要なのは課題設定
例えば、診断結果から「会社方針が十分に浸透していない」ことが分かったとします。
それが限られた部門で見受けられているのであれば、その部門のマネジャーに対して、全社的であれば、方針浸透の全社的な打ち手や社員の意識改革が必要になります。
原因がどこにあるのか(経営陣にあるのか、マネジメントにあるのか、社員の意識なのか、すべてなのか等)、何に手を打てば一番効果があるのかの分析が必要です。
社員の意識として「方針なんて経営陣は言ってるけど現場はやること決まっているので関係ない」と思ったままであれば、いくら方針説明会を実施しても響かない可能性が高いでしょう。
何を重点課題とするかで施策が変わってくるのは当然ですが、前出の「会社方針が十分に浸透していない」傾向があるのであれば、その数値を改善する意味や、自社のありたい姿のために改善する必要がある等のメッセージをしっかりと共有する必要があります。
診断を実施することが目的ではありません。
そのためには、結果の読み解き(分析)から導き出す、打ち手(課題設定とアクションプラン)が重要です。
組織文化は土台
組織文化とは、「ある組織において、メンバー間で無意識、または暗黙のうちに共有される価値観や行動様式のこと」です
。「組織の大多数のメンバーに根付いている暗黙の当たり前(考え方・行動習慣)」ともいえます。
「朱に交われば赤くなる」のように、知識やスキルを習得して、正しい考え方を基に行動を変えることができたとしても、その組織の多数がやっていないのであれば「自分だけやっても…」と元にもどってしまうことがあります。
変革したことを組織文化として定着させるには時間がかかります。
しかし、変わることはできます。
〈参考〉