管理職のコミュニケーションの悩み
管理職受難の時代と言われて久しいですが、今回はコミュニケーションに関してのお悩みとその解決のヒントについて考えてみます。
オンラインでのコミュニケーションの悩み
働き方改革推進の影響もあり、出社せずにテレワーク勤務も一般的になりました。オンラインでの打ち合わせや面談など、場合によっては以前よりも多く設定できており、データのやり取りなどよりスムーズになったという企業もあるかもしれません。しかし、画面を通してのコミュニケーションは、「用件のみの対話になる」「相手の細かな表情を読み取りづらい」「話のタイミングが取りにくい」「本音を引き出しにくくなる」、などのデメリットをあげる管理職も少なくありません。
●解決のヒント:オンラインミーティングを増やす
ただ増やすのではなく、相手が納得/共感できるような目的を設定して実施します。
例えば、週次の状況確認など気軽に部下が話せるような1on1を実施し、そこでは部下が話し上司は聞くことに注力することが重要です。聞くことに注力すればオンラインでも相手の細かな変化に気づくことも多くなるはずです。
上司と部下の板挟みの悩み
自分の上司や経営陣に対しては、現場の課題点や現状をを伝え、部下には、会社の方針や経営戦略を理解したうえで翻訳し、自チームに重要な内容を伝えなければいけません。
双方からの要求をうまく伝えられなければ、どちらからも不満や不信を買う板挟みの状態に陥ってしまいがちです。
そして、「経営陣は現場のことまったくわかっていないんだよね」と部下と一緒になって愚痴を言っていては、部下は上司に対しても経営陣に対しても不信感を持つことにも。
●解決のヒント:「経営陣➡管理職➡部下」
組織全体の目標や方針を自分が正確に捉え、それを現場にわかりやすく伝えることが必要です。 「どのような結果が期待されているのか」を部下が理解できるように、具体的に噛み砕いて説明することで全員が同じ方向に向かえます。このプロセスではただ指示するそれだけでなく、組織の目標と個人の役割のつながりを納得感のある形で共有(コミュニケーション)することが大事です。
●解決のヒント:「部下➡管理職➡経営陣」
現場の部下が抱えている課題や要望、業務改善の提案をタイムリーに報告し、組織の目標と現場のパフォーマンスを調整する役割を担います。そのためにも、部下が発言しやすい雰囲気を作り、人の声に耳を傾けることが重要です。それにより現場でのモチベーション向上や効率改善にもつながります。
部下と価値観が合わず理解できない悩み
管理職と部下の世代が大きく離れていると、「それぞれの時代の当たり前」が違うため、どうしてもお互いの考えが想定以上に異なり、「理解できない」と思い込みがちです。そうなるとお互いに「どうせわかってもらえない」「言っても無駄」「やることだけやってくれればいい」というようなコミュニケーション不足の悪循環に陥りがちです。
●解決のヒント:価値観や考え方に対して、理解しようとする姿勢を見せる
若手社員が何を大切にしているかを知るために、積極的に意見を聞き、共感を示すことで信頼関係が築けます。それによって、若手も自分の考えを伝えやすくなり、コミュニケーションがスムーズになります。
「世代間ギャップ」は、どちらが正しいというものではありません。相手の考えを認めることは自分を否定されていると思う方がいるかもしれませんがそうではありません。自分と違う考えや価値観を知ることは知見が広がることと前向きにとらえて、知ろうとする、分かろうとする姿勢で臨むことが大切です。
管理職にコミュニケーション力を身につけてもらう場合、傾聴力やロジカルシンキングなどのスキルだけを伝えても職場でのコミュニケーションの課題は改善されないことがあります。
これは、管理職のマネジメントに対する考え方が変わらないままでは、現場での行動が変わらないからです。
たとえば、「部下は上司の指示を忠実に実行していればよい。上司は部下の意見を聞く必要はない」という考え方の管理職は、まずはマネジメントに対する考え方を変える必要があります。