「仕事を謳歌する組織」を創る六カ条 五.達成のプロセスを味わう(前編)
本シリーズは、「お役立ち道の経営」推進に欠かせない「仕事を謳歌する組織」を創るための六カ条を、経営トップの立場からご紹介しています。
今回は、第五条「達成のプロセスを味わう」です。
結果だけでなく、プロセスを味わう。その意義についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.「達成のプロセス」を味わうとは
- 1.1.「味わう」とは
- 1.2.「達成のプロセス」とは
「達成のプロセス」を味わうとは
「味わう」とは
我々は、経験上、「愉しそう」に仕事に取り組んでいる人やチームに出会うことがあります。理屈は解らなくても、仕事の業種に関わらず、何となく「なんか愉しんでいるなあ」「やる気満々だね」「見ていて安心」と思えることがあります。そういう姿を見ると、自然に、「その人に任せてみよう」「信頼できる」「また、この人やチームに頼もう」等の感情が湧いてくるものです。
組織の中には、そのような人やチームが一時的にも、部分的にも「ある」ものです。
経営トップの立場では、できることなら、全員が、少なくとも6割の人達やチームが、そのように仕事に取り組んでもらいたいと願っています。何故ならば、それだけで、集団の規準は上がり、より良い知恵やチームワークが生まれ、イノベーションが起こることを体験的に知っているからです。また、ファンになってくれる顧客が増えることも知っているからです。
仕事を愉しんでいる姿は、「嫌々やっている」「上から言われたからやっている」「無理に繕っている」と言う雰囲気とは、真逆の雰囲気を出しているものです。その人達のその瞬間は、自分なりに、仕事が価値あるものと意味付けができていたり、その瞬間を充実させることが愉しかったりすることを体感しているために、全身から、「愉しさや充実感」が醸し出されているのです。
このような仕事ぶりを「味わう」と表現しています。「味わう」とは、「物事のおもしろみやその意味を考えて、感じとる」と言う意味です。
「達成のプロセス」とは
そして、仕事には、「目的や目指す姿や目標があり、現状とのギャップを認識し、現状を目指す姿へと引き上げる」と言う基本のプロセスがあります。
経営者トップの皆様には、当たり前のことと思いますが、経営ビジョンや目標を達成するためのプロセス上、必要な留意点を整理しておきたいと思います。
- 全社理念・目的 組織の役割使命(お役立ち使命)や、組織全体として大切にしている価値観を可視化したもの。中には創業者の「言い伝え」として可視化されていない場合もある。
- ビジョン 組織全体、もしくは、自分が所属する組織の中・長期的な「創り出したい状況」を5W1Hで可視化したもの。
- 目標 組織全体、もしくは自分が所属する組織の事業目標。「短期・中期・長期」の、達成したい数値や、創る価値等を、数値化したもの。
- 戦略・方針 ビジョン・目標を実現するための方策。選択と集中。
- シナリオ 目標・ビジョンを実現するためのストーリー。
- 現状の課題 1.~4.を実現するために、現状とのギャップを認識し、現状を目指す姿へと引き上げるための、自分の課題、組織の課題。
等です。
これらを理解することは、自分にとっての仕事の意味を考える前提となります。その上で、「自分にとって、何の意味があるのだろう。どんなメリットがあるのだろう。出来たらどうなるのだろう。できなければどうなるのだろう。どうすればできるのだろう」と考えることが前提になります。
さらに、経営トップは、社員一人ひとりが自社の理念やビジョンに共鳴し、個人個人のお役立ち使命や個人ビジョンとの共通点を発見し、自社の目的を達成すると同時に、個人ビジョンも実現するのだということが、実感できるようにしていくことが大切です。
そうすることで、会社のビジョン実現・達成のプロセスを歩むことが、自分事となり、仕事を謳歌することにつながるのです。
(次回に続く)