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イノベーションを起こす人と組織をつくる 第3回 ミドルマネジャーは管理者?変革者?

これまで、イノベーションを起こすには、経営幹部・ミドルマネジャー・顧客接点部門の三つのキーパーソンがいる(第1回)と、ご紹介しました。その中で、「経営幹部編」ではスピーディーな決断が必要(第2回)だとお伝えしました。

今回は、二つ目のキーパーソン、ミドルマネジャーです。組織の中でも、ミドル層にあたる現場のマネジャーは、上位の方針意図を受け、現場を指揮する役割があります。一方、現場第一線の動きをメンバーの動きや提案などから察知し、メンバーが働きやすく、市場により良い価値を提供できるように、時には上位を動かし状況を整えることも大切です。業績を上げ続けるという責任も重く、「上か、下か」「今日の飯か、明日の飯か」「現状維持か、変革か」など、二者択一ではなく両立を求められるむずかしい立場でもあるのではないでしょうか。第4次産業革命真っただ中の昨今、ミドルマネジャーに求められることは何かを考えていきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.イノベーションの芽を摘む現場マネジャー
  2. 2.ミドルマネジャーがイノベーションの火付け役
  3. 3.マネジメントだけに偏っていないか?
  4. 4.イノベーションに必須の「リーダーシップ」
  5. 5.ミドルマネジャーを目覚めさせる共創型イノベーション


イノベーションの芽を摘む現場マネジャー


当社は、「次世代リーダープログラム」といったお取り組みを数多く担当しております。次の時代を担う、管理職前の若手~中堅クラスを選抜し、市場の変化を踏まえて、思い切ったイノベーション策を考えるために時間を費やします。もちろん単に「考える」だけではなく、実際の現場で「まずはできること」からチャレンジしてもらいます。

以前、ある企業で実施した「次世代リーダープログラム」に参加した若手社員は非常にユニークな考えの持ち主で、他のプログラム参加者から高く評価されていました。現場で実践するプランもまとまり、「思い切ってやってきます!」と意気揚々と現場に戻っていきました。しかし、次の回に彼と会うと「だめでした…。上司が理解してくれず、何もできませんでした」とのこと。彼のプランは、私から見ても非常に優れたものであり、理解できないという内容ではありません。

要するに、ミドルマネジャーが、イノベーションの芽を摘んでしまったのです。



ミドルマネジャーがイノベーションの火付け役


イノベーションのアイデアは現場にあります。お客様と直接やり取りをし、市場の変化を感じ取り、より良い業務のやり方を追求している現場だからこそ、「変革を起こす」様々なアイデアが生まれるのです。例えば、「おとなしい」「草食系」などと言われている20代の若手の方々とお話をすると、実は心の中に熱い思いがあり、様々な変革のアイデアを持っていることに驚かされます。

このようなアイデアを吸い上げ、チームで試行し、実現に向けて会社に提案する人。それがミドルマネジャーです。ミドルマネジャーがメンバーの変革意欲に火をつけ、実際に変革を先導することで企業全体の変革が動き出します。



一方で、メンバーがユニークなアイデアを提言しても「そんなことは無理」「うちの会社はそんなことは求めていない」と、冒頭の事例のように変化を嫌い、イノベーションの芽を摘んでしまうミドルマネジャーも珍しくありません。

なぜ変化を嫌い、イノベーションを阻害してしまうのでしょうか?それは、「マネジメント」のみを意識してきた結果と言えます。



マネジメントだけに偏っていないか?


リーダーシップ開発の第一人者であるジョン・P・コッターは、マネジメントは既存のシステムを動かすことが目的であり、リーダーシップは、大きな変革を生み出すことが目的であると述べています。既存のシステム、つまり、決まったことをやり切らせる「マネジメント」は非常に大切です。しかし、マネジメントのみに意識が傾いているミドルマネジャーは変化を嫌うようになります。なぜなら、「決まったこと」を壊されるのが嫌だからです。イノベーションにつながるような動きを起こす部下は、「迷惑な奴」と感じることでしょう。

第4次産業革命真っただ中の現在、市場はかつてない変化を迎えようとしています。もちろん、私たち企業は今後ますますその変化に直面します。そんな中、「決まったことをやり切らせる」だけのマネジメントに偏っていては、ミドルマネジャーとしての使命は果たせないのです。



イノベーションに必須の「リーダーシップ」


これからのミドルマネジャーにはリーダーシップが必須です。リーダーシップとは、組織の成果を最大化させるための「変化」を起こすことです。「今よりも、もっと成果を出すためには、どこを変化させればよいか?」を常に考え、実際に周りに働きかけて行動を起こすことです。リーダーシップがあれば、当然変革を提言してくる部下に必死に耳を傾けます。そして、必要と思えば「やってみよう!」とすぐに動きを起こします。マネジメントに偏っている人は、余計なことはやりません。

では、リーダーシップを発揮する現場マネジャーとマネジメントだけに偏っているミドルマネジャーの違いは何なのでしょうか?

マネジメントに意識が傾いているマネジャーは、「上から与えられたことを、とにかく達成する」という受け身の感覚が強いのが特徴です。「自分の軸(価値観・ポリシー)」があやふやであり、そのため自分の意志で何かを決めることができません。

リーダーシップを発揮するミドルマネジャーは、「組織の成果を最大化させるためには何が必要か?」を常に考えています。そして、「自分の軸」がはっきりしていますので、自分の意志で思い切った判断を行います。結果的に、メンバーが考えたイノベーションのアイデアを「よし、やろう!」と取り入れ、現場から変革を起こすことができるのです。



ミドルマネジャーを目覚めさせる共創型イノベーション


当社の共創型イノベーションでは、ミドルマネジャーにまず自分自身と徹底的に向き合っていただき、「自分の軸」をはっきりさせるところからスタートしています。自分のこれまでの人生を振り返り、「大切にしている価値観は何か」を分析していただきます。そのうえで、自分自身の強みもしっかり認識し、「自分はどのような軸をもってリーダーシップを発揮していくか」を明確にします。

このような「自分の軸」をはっきりさせることで、自信をもってイノベーションに向けた決断ができるリーダーへと成長していただくのです。

ますます大きな変化が予想される今の時代、真にリーダーシップを発揮するミドルマネジャーが求められています。




松井 達則
松井 達則
株式会社ジェック 代表取締役社長 【経歴】 大手金融会社を経て、2001年ジェック入社、コンサルタントとなる 2018年 取締役就任 2023年 代表取締役社長就任 【お役立ちコンセプト】「自燃型の人財づくり」 自分で考え、自分で動く自律型の人財はもはや当たり前。 自分の心に火をつけ、常に意欲的に行動することで、周りにも火をつける「自燃型」の人財づくりのお手伝いをいたします。

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