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チームの風通しを良くする4ステップ ~チーム力を高めるために~

「うちの職場は風通しが良い」といった言葉を使う人がいます。「風通しが良い」とは、気兼ねなく意見を言い合える風土を指すことが多く、特に部下が上司に対して「モノを言いやすい」状況でよく使われ ます。心理的安全性が高い、という言い方の方が分かりやすいかもしれません。
意見交換が活発になされるチームは、さまざまな動きが起き改善も進み、「強いチーム」になることは間違いありません。
「あなたのチームは風通しが良いですか?」とマネジャーに尋ねると、多くの方が「はい」と答えます。しかし、不思議なこと に、そのマネジャーの部下の皆さんに同じ質問をすると「悪い」と 答える人が多くいます。つまり、上司は「風通しが良い」と思っており、部下は「風通しが悪い」と思っているわけです。なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。


本当に「風通しが悪い」のか?

あるマネジャーは言います。 「私はいつでも聴く耳を持っている。 しかし、メンバーが働き掛けてこない。おとなしいメンバーが多いのだ」 と。
逆にあるメンバーは言います。「確かに、マネジャーは話を聞 いてくれるタイプだとは思う。でも、 みんな、あまり意見を言っていないし」と。

例えば、会議で、メンバーが意見を言わない状況が続くと、マネジャーはその間を埋めるように話します。それを繰り返すうちに、ほとんどマネジャーしか話していない独演会のような会議になることがあります。
このような職場はおそらく「風通しが悪い」わけではありません。単に「風を通す努力をしていない」だけです。


「風を通す」努力をする

制度や仕組みを整えて、一見「風通しがよくなった」ように見えても、自動的に風が通るわけではありません。
メンバーの中に、「上司に意見を言ったら面倒なこと になる、提案をしたら自分が責任を取らされるかもしれない」や、「余計なことを言うと人事考課にひびくかもしれない」といった不安が残ったままでは、状況はなかなか変わりません。


「風を通す」基本4ステップ

ステップ1:「言える」空気(安心感)

まずは、「このチームでは率直に話してもいいのだ」という安心感をメンバー間につくることです。具体的には、「今のチームの問題点」を出し合ってもらうところからスタートすることが基本です。
最初は無難な内容しか出ないかもしれません。ボイントは「愚痴」に近いものが出た時です。
それを一蹴することなく、「もっと具体的に聴かせてほしい」というスタンスでしっかり傾聴します。
もしかしたら、愚痴がエスカレートすることも考えられますが、とにかくじっくり「聴く」ことです。ただし、「そうだよなあ、私もそう思うよ」などと、同調をしてはいけません。とにかく、状況を把握したいというスタンスで聴くことが大切です。


ステップ2:「変わる」兆し(期待感)

メンバーの愚痴を含め、意見を避ることなく聴くことで、「このマネ ジャーは聴いてくれる」という状況ができてきます。しかし、それだけでは「建設的な意見」が出るようにはなりません。「意見を言うと、いろいろなことが良くなる」と感じてもらうことが必要です。
そこで、愚痴レベルで出てきた内容を、一つだけでも改善する行動を起こすことです。「このマネジャーは、聴くだけでない。意見を言うと良い状況に変わる」とメンバーが感じると、徐々に前向きな意見が出るようになってきます。


ステップ3:「自らやる」状況(当事者意識)

マネジャーだけが改善の努力をしていると、「マネジャーにやってもらう」という依存心が強くなってしまいます。そこで、意見が徐々に出るようになってきたら「その意見は興味深い。一緒に取り組んでくれないか」とメンバーを巻き込みます。間違っても「そう思っているなら、お前がやれよ」などと言ってはいけません。「一緒に、良いチームをつくる」というスタンスです。
動きが軌道に乗り始めたら、役割をそのメンバーに任せます。


ステップ4:「うまくいっている」 実感(勢いづくり)

メンバーが動き、うまくいった事例はミーティングで共有します。メンバー自身にうまくいった点を発表してもらい、質疑応答を行います。
真面目なチームほど「うまくいっていない点」に意識が集中し、「うまくいった点」は発表する場がありません。しかし、強いチームを作るためには「うまくいっていることを、 もっとうまく活かせる」ことの方が大切です。
発表した本人は、「自分で意見を出し、いろいろと動いて良かった」 と感じるはずです。


アクティブに風を通す

「当たり前」のようで、なかなか 難しいステップです。しかし、じっくりとこのステップを意識してチームづくりを行っていくと、徐々に 「風が通る」ようになります。
強いチームになるためにアクティブに風を通す努力をする必要があります。この動きをして初めて、メンバーが「風通しの良い職場」という評価を下すのです。



*この記事は株式会社ジェックの「行動人」453号より転載・加筆いたしました。

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