自分のモチベーションの源泉を知る
~あなたのキャリアをデザインしよう! 第2回~
目次[非表示]
キャリア・デザイン・プロセス
キャリア・デザイン・プロセスにはさまざまなパターンがあります。
その中で、これまでのキャリア支援を通して、以下のプロセスが取り組みやすく、納得度の高いキャリア・デザインができました。
・自分のモチベーションの源泉を知る
・自分の強みを知る
・キャリア・コンセプトを明確にする
・キャリア・ビジョンを描く
・ビジョン実現に向けて、現実と向き合い、行動する
自分のモチベーションの源泉を知ろう
自分がこれからどのように生きていきたいかを考えるにあたって、まずは「自分が何にわくわく夢中になれるのか」「自分は何が好きなのか」を探求します。
一般に、自律型人材になるための三要素として、「WILL/WANT(やりたいこと)」「CAN(できること)」「MUST(すべきこと)」を明らかにし、その3つの難の重なりを明確にすることが重要だといわれています。
順番としては、まず「すべきこと」を考え、その中で自分が「できること」で、かつ、「やりたいこと」を明確にしましょう、と提唱されることがあります。
確かにこの順番は、新入社員のように「まだやりたいことがわからない」という方には有効です。会社から与えられた仕事、つまりすべきことに真剣に取り組むことで能力が開花し、できることが増え、その中からやりたいことが見えることがあるからです。
しかし、30~40代の中堅の方にとってはどうでしょうか。
「すべきこと→できること→やりたいこと」の順番で人生をデザインしたら、こぢんまりとした、広がりのない展望になってしまうのではないでしょうか。
キャリア・デザインの目的は、「自分らしく、生き生きとした、納得のいく人生を生きるため」です。「すべきこと」から始まる順番で人生の展望を描き、その人生を生きたとして、はたして自分の人生の最後に「自分らしく、生き生きと、納得のいく人生だったなあ」と思えるでしょうか。
もちろん、「すべきことに集中し、きちんと収入を得られる生き方ができれば十分だ」という考え方も理解できます。
しかし、今の市場環境では、会社から与えられた「すべきこと」だけに取り組んでいては、新しい価値を創造したり、ビジネスを拡大したりすることは難しいのです。
ビジネスパーソンは、常に新しい発想やアイデアでビジネス・チャンスを創っていくことが求められます。
また、それができる人が、将来的にも収入を得られる可能性が高いといえます。
では、どのような人がアイデアを次々と出して形にし、ビジネス・チャンスを創っていけるのでしょうか。
それは、自分の中に潜んでいる「WILLやWANT(これがしたい)」という欲求に素直に耳を傾け、想いやアイデアを形にし、世に出していける人です。
今、ヒットしている商品やサービスの多くは、企画者や開発者の「あったらいいな」という想いが形になったものです。
WILLやWANTに基づいているからこそ、発想が豊かになります。
また、欲求に突き動かされるからこそ、アイデアを形にし、世に出すために求められる「行動力」や「既成概念の壁を突破する力」が生まれます。
「自分らしい人生を生きるためにも、ビジネス・チャンスを創造できる人材になるためにも、あえてキャリア・デザインの最初の段階で「自分は何にわくわく夢中になれるのか」「自分は何(何をするの)が好きなのか」を探求していただきたいと思います。
そして、そのとき、WILLやWANTに想いをはせることを自分に許可してください。それは、「WILLやWANTを考えても、感じてもいいんだよ」と自分に言ってあげることです。
生きる力を引き出すために。WILLやWANTにフタをしない
WILLやWANTに想いをはせることを自分に許可する、それはとても大切なことです。
責任感が強い人ほど、MUSTについては一日中でも考えていられるけれど、WILLやWANTについて考えるのは気が引けるという人が多いからです。
ですが、キャリア・デザインに取り組むほんのひととき、責任や役判から自分を開放し、自由に自分の心の声に耳を傾けてください。
幼少のころ、または学生時代、あなたはどんなことにわくわくし、夢中になりましたか。あるいは社会人になってから、どんなことにわくわくし、夢中になりましたか。
このような問いを投げかけると、さまざまな答えが返ってきます。
「仲間と一緒にチームとして何かに取り組み、目標を達成した時にわくわくします」
「オリジナルのアイデアでモノを創って、周囲の人にあっと驚いてもらえる時にわくわくします」
「人を笑わせて、楽しんでもらうのが好きです」
「美しいものを見たり、創ったりするのが好きです」等々。
出てくる答えは千差万別ですが、それを語る方の顔は、一様に生き生きと輝き、生きるエネルギーに満ちています。
そんな自分の中に眠る「生きるエネルギー」を、あなたにも感じてもらいたいと思います。
やってみよう・モチベーションの源泉を知るための「問い」
1.これまでの人生(仕事も私生活も含めて)を振り返って、わくわく夢中になったのはどんな時ですか?
幼少時から現在までを振り返って、5~10程度の出来事を挙げてください。
2.1で挙げたそれぞれの出来事や事柄について、何が「わくわくするポイント」でしたか?
ポイントをメモしましょう。
3.2で挙げた「わくわくするポイント」を見て、「自分のモチベーションの源泉(=何があれば、自分はわくわく夢中になれるのか)」は何だと思いますか?
※(弊社季刊誌『行動人』445号より加筆修正)